『タイタンの戦い』


 『パーシー・ジャクソンとオリンポスの神々』の前日談です(ウソです。いや、ホントか?)。


 オリンポスの神々に反逆した王に、一つの罰が下される。それは、ゼウスによって王妃が神の子を孕まされたこと……。王妃と子は、生きながら棺に閉じ込められ、海へと投げ捨てられる。だが、半神たる子、ペルセウスは生き延び、漁師に拾われ育てられた。20数年後、人間による神への反逆が激しさを増す中、冥界の神ハデスによって、ペルセウスは育ての親を失う。神々への復讐を誓った彼は、ハデスとその配下の怪物クラーケンを倒すべく旅に出る……。


 生い立ちから始まるから、かなり壮大な話……のはずなんだけど、なんせ映画は110分しかないからねえ……。ぱっぱぱっぱと話が進むので、何やらダイジェスト版のような印象になってしまう。展開はしょりすぎだろ! キャラの描き分け出来てないだろ! クライマックス、一撃かよ! 溜めも伏線も最低限で、捻りなく話が進んでしまうのだ。脇役キャラたちの死にっぷりも、後日談もいかにもやっつけ。が、ギリシャ神話ってのもそんな濃い話じゃないし、あれの筋だけなぞれば当然こういうことになってしまう。だからこそ、オリジナルの要素で膨らませるべきなんだが……。
 映像はそんなに悪くない。色々と知っている怪物が出て来て、わ〜い楽しい〜。ペガサスの躍動感もいいよ。しかしクラーケンのデザインはHAKAISYAそっくりでがっくり。


 サム・ワーシントンは、パッと見は華がないのだが、見ている内にだんだん主役っぽい味が出て来るのが不思議。『T4』はそこらへんさえダメだったが、『アバター』でもそうだった。仮に脇役でいたとしたら、なぜかぎらついて見えるだろう。こういう存在感というのはあるものだ。ゼウス役のリーアム・ニーソンもなかなか好演。威厳こそあるが人間臭いギリシャ神話の神のキャラをうまく出している。ギリシャ神話の神様が子供思いだったりエロかったりと、えらく人間的なのは我々ギリシャ神話読者からしたら常識なんだが、「その世界に住んでいる人間」はそんなことは知らないんだよな。ラスト、主人公がそれに気づき、初めて神に親近感をおぼえるシーンはちょっと意外性があって面白かった。

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ギリシャ神話集 (講談社学術文庫)

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