『夏の吐息』小池真理子

夏の吐息 (講談社文庫)

夏の吐息 (講談社文庫)

 短編集。


 ちょこちょこっと前振りで状況説明があった後、件の男女が再会し無言のまますれ違う……。筋を書いたらほとんどそれだけの短編を頭に、男女の出会いと別れをテーマに6本。
 それぞれパロールやらストロベリーサンデーやら、それっぽいようなそれっぽくないような小道具が配置されていて、どれも違う味わいが発揮されている。


 ん〜、これは浸れる。上記の「男女が再会し無言のまますれ違う」あたりの文章の決まりっぷりが異常。全編モノローグの表題作の物悲しさといい、何も考えずに文章を追ってるだけで入り込める吸引力も素晴らしい。
 さらっと読むのにいい作品。

記憶の隠れ家 (講談社文庫)

記憶の隠れ家 (講談社文庫)