『地獄からのメッセージ』A・J・クィネル

地獄からのメッセージ (新潮文庫)

地獄からのメッセージ (新潮文庫)

 傭兵クリーシィシリーズの最終作。
 と言っても別に完結編と大仰に銘打たれてるわけではなく、単に作者がお亡くなりになったために終了しただけだが……。
 いい加減、5作目ともなると主人公がスーパーマン化してしまって、おまけにモテモテだったりして、なんだかなあと言う感じなのだが、実際に傭兵だったと言われる作者の筆による、傭兵たちの生活感の描写は相変わらず素晴らしい。
 とはいえ二度映画化された第一作『燃える男』とそれに続く第二作『パーフェクト・キル』にあった情感はもはや主人公側にはなく、それを悪役側に求めたのはいささか無理があった。