2008/12/23『TOUITSU』観戦記

 いや〜、この年末のビッグイベントと言えばこれですよ〜。大晦日なんてもう適当でいいや(笑)。

 十年ぶりぐらいの神戸……いやもっとか? 考えてみれば、震災以降一度も行ってないような気がする……。
 JR東西線で楽々行けてしまうんだよなあ。

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 そんなこんなで、久しぶりの神戸。三宮で下りて、ラーメンでも食っておこうとぶらぶらする。昔はよく来たんだよなあ。祖母も健在だったし、もちろん父も元気だった。一人で神戸を歩き回るなんてのが、よく考えたら初めてで……こんな小さな街だったかな……。ふっ、どうして年末ってのはこんな感傷的になるのかな。

 さて、ポートライナーに乗ってワールド記念ホールまでやってきたが、開場は15時なのに、ついたのが14時8分(笑)。初めてだからって、ちょっと余裕みて来すぎた。悪い癖だなあ。いっつもいっつも早く来てしまう、これは治した方がいいよね。仕方ないからちょっとブラブラして時間つぶしするか……でもここらへん、何もないんだよなあ。人影さえまばらで……。
 溜め息をつきながら、相変わらず川本真琴をガンガンに鳴らしながらホール沿いにぶらぶら歩き始めたところ、前方から見覚えのある人影が一人……。

 おおっ、そちらから歩いてくるのは、

「(11月の全日本キックで、壮絶な塩試合をやらかしたばっかりの、K-1MAXにも出てる『テコンドードラゴン』)尾崎選手ですよね!」

 はいっ、速攻で声かけました。おかしいな、オレはもう少しシャイな人間だと思ってたんだけど……で、今日はなんか朝からテンション低かったように思ったんだけど……気のせいだったのかな……。

オレ
「今日はセコンドですか?」

尾崎選手
「あ、はい、うちのチームのみんな、応援して下さい」

オレ
「はいっ! 梶原選手、応援してますんで!」

とか何とかいいながら握手。まあ特に黒田が勝てばいいとも思ってなかったので、これぐらいは嘘とは言えないだろう。いやあ、でもラッキーだなあ。早く来るのも悪くないね(笑)。が、これが後でちょっとした不安を呼ぶんだが……。

 駅前に戻って、ホテルのロビー(喫茶ではない)で本読んで時間つぶし。戻って3時ちょうどに開場。グッズなんてものはないが、一冊1000円のパンフを、自分用とジムへのおみやげのために2冊購入。

 席についてみると……おお、近い! スタンド席最前列だけど、アリーナの真後ろで、階段一段分高いだけ。大阪城ホールみたいなのを想像してたけど、全然違うよ。これ、アリーナの角度悪いとこに比べても、かなり近いんじゃね? 超ラッキー〜! 通路際だったので、片側は空いてて楽だし、隣に座ったのは……ん? 子供が一人? 中学生? なぜ?

 パンフとノート、シャーペンを出して、メモ取りの準備。この日に備えて、関東の観戦の達人ことMr.Y氏にメモ取りの極意を伝授してもらっていたのだ。ふっふっふ、怖いぐらい準備万端だぜ。いや、デジカメは忘れたけど(笑)。

 まずはオープニング。

▼オープニングマッチ第1試合 70kg以下契約 3分3R延長なし(ヒジなし)

JIRO(日進会館/第6回グローブ空手道選手権播州杯中量級3位)

VS

甲斐直樹(正道会館/R.I.S.E. KAMINARIMON TOURNAMENT’07準優勝)


 JIROは蹴り主体。甲斐はRISE出身らしく、回転の速いコンビネーション。前蹴りもものともせず詰めて、ボディも狙う。1ラウンド終盤から、早くもガード落ちてるJIRO。なぜか1ラウンド終了時のゴングが聞こえず(笑)。
 右ストレートをガンガンにもらうJIRO。2ラウンドはなんとか自分の距離にし、膝で反撃するがローも効いてしまっている。
 3ラウンド、どちらもスタミナ切れの様相だが、全然ガードの低さが修正されないJIROに、立て続けに甲斐の右ストレート。
 1ラウンドは甲斐、2と3はやや甲斐かイーブンかな。しかし判定は二者が30−28だったものの、一人はドロー。な・ぜ。


▼オープニングマッチ第2試合 60kg以下契約 3分3R延長なし(ヒジなし)

一刀(日進会館/第9回グローブ空手道選手権播州杯中量級優勝)

VS

島村晃司(チームドラゴン/新空手2008年K-2グランプリ軽中量級準優勝)


 おお、この選手もチードラの選手なんですな。尾崎がセコンドについてるじゃん。まあああいった手前、応援するとしよう。

 先手を取ったのは島村、まずはミドルを飛ばす。距離の探り合い、さらに蹴りを……と思ったその瞬間、一刀が飛び込んでの右ストレート! その名の通り、一撃! ぶっ倒れてカウント3まで数えたところで、こりゃ無理だと思ったが、一応10まで数えられた(笑)。
 あ〜あ、チードラ負けちゃったよ。応援する間もなくやられたね。


▼トーナメント リザーブマッチ 62kg以下契約 3分3R延長1R(ヒジなし)

河野雄大(武勇会/マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟/MA日本ライト級王者)

VS

末広智明(大道塾吉祥寺支部/R.I.S.E. FLASH to CRUSH TOURNAMENT’07準優勝)


 ちょっと時間置いて本戦スタート。
 パンチで前に出る末広に、ミドルで距離を取る河野。ここも肘なしで、なんか首相撲が「3秒」らしいんだが、こうなるとRISEルールでやってる末広が断然有利か。
 ちょっとトリッキーな動きを見せる末広が、2ラウンドからパンチの手数を増やし、左ミドルもクリーンヒットさせる。河野は口も開いて、組み付きが多くなる。
 ガード下がってる河野に、末広のパンチがこつこつヒット。ミドルもキャッチで防ぐしかないが、押されてる印象。
 判定は当然、末広。うーん、これは凡戦だったなあ。


▼第2試合 トーナメント1回戦 62kg以下契約 3分3R延長1R(ヒジなし)

吉本光志(AJ/全日本キックボクシング連盟/IKMF東洋ライト級王者)

VS
赤十字竜(キング/ニュージャパンキックボクシング連盟/NJKFスーパーフェザー級王者)



 いよいよトーナメントの本戦。しかし、やっぱこの8人がオープニングで並ぶ光景は、ちょっと異様なものがあったよ。
 青コーナーなのに赤十字とはこれいかに……しかも「せき」じゃなくて「あか」なのか……。
 右ハイ、左ミドルと飛ばす赤十字。綺麗なフォーム。コンビネーションも切れてて、吉本はやや面食らったか様子見か。前に出てややがちゃがちゃと組み合うような感じになるが、赤十字が離れ際にうまく距離をキープして技を当てる。吉本は圧力をいなされてる。
 うまいなあ、こりゃ番狂わせもあるんじゃない?
 ペースを変えたい吉本が、2ラウンド、前に出る。圧力を強め、パンチもヒット。しかし赤十字も気の強さを見せ、膝で反撃。組んでも負けてない。
 しかしかなりもらってるはずの吉本が全然ペースを落とさず、3ラウンドも前進。これだけ押されてスタミナも尽きてきたか、赤十字は攻撃が雑に。吉本はコンビネーションをハイまでつなげるようになり、優勢に。
 30−29、29−29、29−29、赤十字に一票入ったがドロー。1、3と分け合ったらこうなるよなあ。妥当。
 延長では、吉本ペース。もう手数では完全に圧倒。赤十字も意地で右ストレート当てるが、終了間際に吉本がハイキックを当て、勝負を決定づける。
 延長は三者10−9で吉本。
 いやあ、えげつない消耗戦だった。そして思惑通り?それを制した吉本。赤十字もいい選手だと思ったが、見事に飲み込まれた。
 引き上げる赤コーナー側の選手が目の前を通るじゃないか! すごいすごい。しかしみんなまだ次戦があるから、笑顔でハイタッチって雰囲気じゃないよ(笑)。


▼第3試合 トーナメント1回戦 62kg以下契約 3分3R延長1R(ヒジなし)
梶原龍児チームドラゴン/K-1推薦/WFCA世界ライト級王者)

VS

黒田アキヒロ(フォルテス渋谷/J-NETWORK/J-NETWORKライト級王者)


 いやあ、尾崎選手に約束した手前、梶原を応援せねばならん。しかし、実は奴のアウトボクスがいまいち好きになれんのだが……。
 ちょっとオーバーアクション気味に誘う梶原。黒田は前進してロー狙い。梶原は蹴り少ないが、リーチ差を活かしてパンチ当てる。速い。左フックとか、黒田は見えてない。しかし、ブロッキングというかなんかわちゃわちゃした手の動きで防ぎ、ローの距離をキープ。これは後半効いてくるか。
 2ラウンド、黒田がパンチも振って前に。右ローが走ってる。梶原は徐々に距離を詰められてる。パンチが当たりそうで当たらない。つうか、なんだ、あのわちゃわちゃしたディフェンスは……? しかし最後に右ローまでつなげるのが徹底している。
 3ラウンド、完全にコーナーまで詰められるようになった梶原。おいおい、アウトボクシングが完全に潰されたよ。ほとんど乱打戦みたくなってきた。黒田はアッパーから右ローまでつなげ、わちゃわちゃディフェンスで打ち合いも互角。ロー効いてる。
 これはもしや……と思ったら、判定30ー29、30ー30、30−29で黒田。
 おおおおおおおお〜、来た来た。K-1代表、屈辱の初戦敗退。しかし見事に潰されたね……こりゃあれだな、アウトボクサー崩しの作戦だったのだな。
 あ〜あ、またチードラ負けちゃったよ。ここでちょっと不安になったのは、オレが尾崎と握手したせいで、チードラに何か負のパワーが移ってしまったのでは……ということだな(笑)。これはジンクスにならないといいが……。

 さて、目の前を通り過ぎた黒田選手に拍手して、ふとアリーナの開いてる席辺りを見ると……あれ……なぜうちのジムの代表がここに……?


▼第4試合 トーナメント1回戦 62kg以下契約 3分3R延長1R(ヒジなし)

及川知浩(及川道場/シュートボクシング協会/SB日本スーパーフェザー級王者)

VS

森本達也(日進会館/99J−TOP軽量級ウエイト制トーナメント準優勝)

 及川の応援団が凄い! 子供とか来てるし。
 一人だけ知名度低い感じの森本だが、結構でかい。体格差がすごいよ。及川はローで先制。森本はちょっと固いか、早くもバランスを崩す。及川はジャブローを当て優勢。なんとか手数を出し始める森本。
 未完成佐藤嘉洋という感じの森本だが、2ラウンドは固さも取れたか、長いパンチを延ばし始める。及川はローを当て、さらにパンチも狙うが、パンチの交換になるとリーチ差が響き、手数を出せなくなる。森本は安全な距離からパンチを連打し、近づかせない。もっと及川が圧倒するかと思ったんだが、このリーチ差はやはり脅威。
 3ラウンド、懐に入った及川が右フックを当て優勢。ローとアッパーで突き放す森本だが、終盤はロープ際に詰められて連打浴びる。ハイキックも当たり、ダウン寸前になった当たりも。
 これは及川取った、控えめに見ても3ラウンドだけ取って30ー29、1ラウンドも取っててもおかしくない……と思ったのだが、判定は30ー28、30ー30、30ー30でまさかの延長。ありえね〜! 森本が良かったのは2ラウンドだけで、そこを手数だけ評価して取ったのならわかるが、それなら29ー29、お互い減点なしとかあり得んだろ。
 応援団大ブーイング。延長で怒り心頭といった様子の及川、組んでの膝から飛び膝、右フックを当てて猛攻。しかしここも手数出して粘る森本。悪い選手じゃあない。及川は手数を出し切れず、最後まで苦しんだ。
 三者10ー9で勝者は及川。試合後は抱き合って健闘を称え合い、さわやか。


▼第5試合 トーナメント1回戦 62kg以下契約 3分3R延長1R(ヒジなし)

石井宏樹(藤本/新日本キックボクシング協会/前日本ライト級王者)

VS

壮泰(士道館橋本道場/マーシャルアーツ日本キックボクシング連盟/MA日本スーパーライト級王者)

 さて、大本命の登場。石井の入場曲、けっこうカッコいいな。なんて曲だ?
 石井のロー速っ! ジャブから左フックが速い! 一瞬、場内がどよめく。しかし壮泰も速い。ジャブに右ストレートをかぶせ、ちょっと石井は嫌な顔。後半、壮泰は目が慣れてきたか。序盤貰ったから、ちょっと石井有利。
 2ラウンド、壮泰は右ハイ、右ストレートを狙うが、石井が紙一重で見切る。ジャブとローの応酬、全ての面でわずかに石井が上回ってるが、決定打はなし。つうか壮泰もこれだったら大健闘だろ。ここまで五分にやりあうとは……。
 最終ラウンド、細かく当てるのは石井だが、壮泰も当て勘良くクリーンヒットをものにする感じ。ローの蹴り合いから、パンチの応酬、最後に打ち合って、お互いヒット。
 判定は、30ー29、30ー30、30ー29で石井。まあ手数はあったし、妥当か。

 いや〜、しかし客席ガラガラ(笑)。これ、間違いなく2000も入ってないよな。最大1万の会場で……。主催者の地元が明石だそうで、だから近い神戸なのか?
 チームドラゴンは上松も来てるな。これ以上、疫病神を移してはいかんから握手とかやめとこう。
 隣の子供は、男の子かと思ってたら女の子だということに今更気づく。
 テレビも入ってて実況が聞こえる。解説は最近キックもちょっとやっているボクシングの徳山。

 代表がやってきて、あれこれ。

代表
「何メモ取ってるの?」

オレ
「試合展開ですけど……」

代表
「ほんまにブログ男やな〜」

 なんか電車男みたいで、もてなさそうですからやめて下さい。

代表
「あと何試合あるの? もう帰ろかな」

 どうも付き合いというか、名刺交換とかそんなことで来たらしく、いまいち内容を把握してないらしい。

オレ
「あと四試合ありますよ。神様見て帰りましょうよ!」

代表
「そうやな〜、センチャイ見たいよな」

 こんな話してたら、なんかオレまで準決勝見るのが面倒になってきたような……(笑)。


▼第6試合 トーナメント準決勝 62kg以下契約 3分3R延長1R(ヒジなし)

吉本

VS

黒田

 まあしかし吉本ってテクニックとかない選手だよなあ。またも強引に前進。黒田は右ローで対抗。対角線で引っ掛けるような左フックを振って、これが結構当たる。距離近い。押してるのは吉本だが、もひとつ手数は出てないか。
 2ラウンド、吉本はさらに強引に前進。恐るべきタフネス。膝も突き上げる。しかし黒田もミドルとローをバシバシ当てる。もうドロドロになってきた。吉本はかなりもらってるんだが、倒れない。失速する様子もない。
 3ラウンド、黒田のコンビネーションが全開。フックとアッパーも狙い、ローまでつなげる。それでも前進する吉本だが、よく見ると完全にパンチが死んでる(笑)。もう振ってるだけという手の動き。膝は生きてるが……。リーチ長い梶原とローの距離でやりあえた黒田、ワチャワチャディフェンスで吉本の手打ちパンチを止め、至近距離でも互角以上。つうか、押し返し始めた! 吉本が下がり出した! ありえん!
 黒田が最終取ったかと思ったんだが、30ー29、29ー29、30ー30でドロー。
 延長、吉本はもう膝しか残ってない。黒田はここで首相撲からの崩しを見せ、パンチからローにつなげ手数を出す。が、さすがにそれも落ちてきた……キレもない。吉本の膝か、黒田のローか、どっちを取るか非常に微妙。
 10ー9、9ー10、10ー9。2対1で黒田! いやあ……えげつない消耗戦だったなあ。しかし梶原のアウトボクシングを封じたのに続き、吉本の前進まで止めて押し返してしまった。黒田恐るべし。なぜあのワチャワチャしたディフェンスを誰も突破できないんだ? この試合は、技術の差が出たかな。


▼第7試合 トーナメント準決勝 62kg以下契約 3分3R延長1R(ヒジなし)

及川

VS

石井

 うーん、ようやくビッグマッチが実現した感じ。
 石井は左からローの黄金コンビネーション。しかしちょっと乗ってきたか、アッパーや前蹴りも出し、及川の顎を上げさせる。さらに奥脚へのローが出始めた。速い速い、こりゃ金取れるコンビネーションだ。及川は1ラウンド、まったく手が出ない。
 2ラウンド開始早々、石井の右ストレートで及川尻餅。タイミングもあり、レフェリーは一瞬判断を迷ったが、座ったまま数秒呆然とした及川を見てダウンを宣告。その後も石井が圧倒。左ハイからもう一度左ハイと見せて左ローのコンビネーションが凶悪。
 3ラウンド、及川も右フックを当てて巻き返しを図る。しかし石井は手数を止めず、ジャブ連打からの左ミドル、ワンツーからもう一発ストレートなど、多彩なコンビネーション。及川の右フックが結構当たったので、このラウンドはどうにかイーブンかも?
 30ー28、30ー27、30ー26で石井。ダウンだけのポイントとかあり得ないだろ。まあでも順等。


▼セミファイナル(第8試合) ワンマッチ 65kg以下契約 3分5R(ヒジあり)

センチャイ・ソー・キングスター(タイ/ルンピニースタジアム認定スーパーフェザー級王者)

VS

ホー・セイウン(韓国/大韓キックボクシング協会ライト級王者、2008KoreaGP65kg級優勝)

 セーンチャイ登場で熱狂してるのは、オレとちょっと離れたとこに座ってた二人連れぐらい(笑)。いや〜、しかしようやく「神」をこの目で見られるのか……と思うと、ちょっと興奮。そして入場が長い。タイのダンスをセコンドと共に踊りながら入場! リング前でのお祈りも長い! 全てが、ムエタイクオリティ。
 身体も凄い。ほんとに58キロなのか? 筋肉がパンパン。脚の太さとか異様。
 さて、入場してコールが行われ、いよいよ開始かと思ってたら、「あの曲」が鳴り始め……えええええええ、ワイクルーやるんですか! いやあこれはやらんと思ってたから、嬉しい驚き。ブーブー言ってる客もいて、レベルの低さに腹が立つ(笑)。おまえら、全員神に謝れ! ここで文句言っていいのは、ヒマそうに待ってる対戦相手だけだ!
 そしてワイクルーを踊り出すセーンチャイだが……いやもう……凄過ぎる……軽く脚を上げたポーズでさえ……全てが違いすぎる! あらゆる動きに一糸の乱れも無駄もない! 鳥の羽ばたきのように両手を動かすのだが、左右の腕がまったく同じリズムで波のようにうねる。鳥肌立ったね!(笑)
 試合開始。出た〜! いきなりのマットに手をついてのカポエラキック! これが噂のあれですか〜。そしてジャンプ前蹴り! いやあ、やっぱり神はわかってる。え〜、正直言って、まわりには全然わかってない客も多かったため、まるでセーンチャイが「僕のために」技を出してるような錯覚さえ覚えました。
 しかしローが二発金的に入ってしまい、2分インターバル。頼むからここで終わらないでくれ! まだあの技とあの技とあの技見てないんだよ!
 再開。自ら殺されに行くセイウン選手の勇気にひたすら拍手。セコンドの支持か、その後一切ローを蹴らなくなったセーンチャイ……(笑)。もう一度カポエラキック……両脚上がった! 嘘だろ!? 一瞬、ほとんど逆立ちになったぞ!? 
 2ラウンド、出た〜空気投げ! セイウンの身体が空中に半回転。シュートポイントつきそうな跳ね上がり具合。ここから攻めがシビアになり、ボディから左ハイ、前蹴りを顔面にも突き刺す。もう全然タイミングがつかめん! しかもセーンチャイはサウスポーなのに、セオリーと反対の左方向へ、関係ねえとばかりに回って行く……ありえん。
 この試合だけ5ラウンドマッチなんだよね。しかし3ラウンド、全ての攻撃をスウェーで見切り、ボディで注意を引きつけた後、パンチを狙ってきたところにカウンターの強烈な肘。ロープ際で左ストレートを叩き込み、さらに右ストレートも追い打ち。これでセイウンはフラフラに。その後でボディストレートの三連打! えげつない音が立て続けに響き、ついに勇気ある韓国人は悶絶! 辛うじて立ち上がり続行……だが、その1秒後に左テンカオがめり込み、再び再び悶絶。すぐにレフェリーが止める。3ラウンド残りは4秒。
 つ、つええとか言うもんじゃない。凄過ぎる……。もう全ての技が芸術。自分で真似したいとかそんな気持ちさえわいてこない。
 ああ……感動だ……来て良かった……これだけで8000円払った価値があったよ(涙)。
 まだまだ余裕っしょ!? このまま石井と決勝戦やって下さいよ(笑)。
 さて決勝……あれっ、代表がいない。ほんとにセーンチャイ見て帰ったのか……(笑)。


▼メインイベント(第9試合) トーナメント決勝戦 62kg以下契約 3分3R延長2R(ヒジあり)

黒田

VS

石井

※優勝300万円、準優勝100万円、3位50万円

 石井は下馬評通りだが、黒田は予想外。石井の入場曲ももう三回目で、なんか欲しくなってきたな……(笑)。
 もうフラフラなんじゃないかと心配された黒田だが、またワチャワチャした手の動きで前進。石井はフックを振るい……右肘! これが直撃し、黒田はばったり。ついに、ついにワチャワチャディフェンスが破られた。立ち上がった黒田に石井はなおも襲いかかり、お互いスタイルが似てて噛み合うだけに技が当たりまくる。
 しかし肘を振り回す石井は、準決勝までとは別人だ。
 2ラウンド、コンビネーションの応酬では必ずローで上回ってきた黒田だが、ここでは肘までつなげる石井に押し負ける。それでもローとアッパーで食い下がる黒田。石井はパンチも冴え、ローもまだまだ走ってる。が、その距離から一歩も引かない黒田。
 最終ラウンド。逆転を狙って前に出る黒田に、石井が容赦なく肘。ゴツンて音したんだけど……でも黒田は倒れない。石井の人が変わったような猛攻に、しかし黒田は前進し続ける。かなり入ってるんだが……。タフ過ぎる。いや……梶原戦で追いつめたのは作戦、吉本戦で押し返したのは技術、僕はそう書いたが……違った。これは……意志だ。闘志だ。心だ。実力、消耗度、ポイントの差は明らか。それでも前に出続ける黒田。凄い。凄い選手だ。
 判定は、30ー27、30ー26、30ー27。当然石井。やはりと言う感じだったが、レベルが違いすぎた。ほぼK-1ルールという状態の準決勝までの戦いが嘘のように、決勝では圧倒的な強さ。それに抵抗し続けた黒田の粘りも光った。

 閉会式ではなぜか吉澤ひとみのインタビュー。終了後、リング上で男泣きした黒田だったが、それについて振られて「目から汗が出たんです」と答えていた。いやあ、お約束通りの答えだが、やっぱ男はそうじゃないとなあ。

 さて、やっぱり問題は、決勝だけルール違うというのが一番だな。石井の明らかに別人な強さにちょっと引いたよ。まあせめて4人制にすべきで、出来れば小会場で三回にわけてやるのがベストだよなあ。
 つうか、ほんとにガラガラすぎ! 演出はK-1ばりだったが、テレビ入ってもカメラのやり場に困るよ。で、こんだけアリーナも開いてるんだから、スタンドからも移動させてくれれば良かったのに(笑)。
 で、応援団も及川だけはすごかったんだが、他は全然で(笑)。いやあ、盛り上がってなかったなあ。まあオレは全然そんなこと関係なく楽しんでしまう方なんだが、それにしてもねえ。
 さあこのイベント、今後は続くのか否か?

 終了後、再び三宮に舞い戻り、ビールと餃子で夕食。神戸の夜ってちょっと特別……。まあ良かったのは判定ばかりだったにも関わらず、8時半には終わったことか。

 さて、次の生観戦は……2月のMAXかな?