「プロジェクト"Koshien"テストタイプ」HIROYAの担当博士による2010年K-163kgシーンの総括!

 さて、第三回となる今回は、K-1甲子園及び63キロ級について、タイプHの研究をされておられる博士に、お話をうかがいたいと思います!
 では博士、よろしくお願いします!
 
「あ〜、ごっほごっほ。待ちすぎて腰がいとうなったわい。あの尊大な奴もうるさいあいつも、もう少しワシに気を使ってもよさそうなもんだがな」
 
 ははははは、そこはまだ新興の階級ですから。
 
「そうじゃな。だが、63キロのコンセプトは、ヘビー級やMAXとは根本的に違う、と見ていいじゃろう。今日はそこらあたりも語れたらいいのう」


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  さて、まずはHIROYA選手についてうかがいます。前回は久保選手に完敗しましたが。

 
「夏のトーナメントの時にも言ったことだが、この結果は折込済みじゃよ。残念だが、今のHIROYAでは奴には勝てん。まだ大和なら、つけ入る隙があったかもしれんがのう。弱点の強化もテスト戦闘も、すべて遅れている。新しいジムがどんな環境になっているか知らんが、自分に優しい環境で終わっていなければいいがのう」
 
 今年の63キロシーンは、最高の盛り上がりでトーナメントを締めくくりました。しかし、その後はKrushで大和選手が敗れるなど、価値観の失墜とも言える事態が続いています。
 
「そうは思わんよ。大和に勝った卜部にしろ、K-1の文脈においても、甲子園準優勝、トーナメントでも無敗の選手だ。仮にランキングをつけるなら、挑戦者の位置にいてもおかしくない。ぽっと出の無名に負けたならともかく、あり得る話だろう。問題はKrushのリングでこれが起こったということにつきるじゃろうな。ただ、大和はK-1王者ではない。K-1日本王者に過ぎない。来年に世界トーナメントを開くなら、そこで久保、大和、卜部で競わせればすむ話じゃろう」
 
 では、Krush、RISEの活況は、K-163キロ級にとって脅威ではないと?
 
「もちろん、王者が出て行ってぽろぽろ負けるような不手際は、できれば望ましくないのう。今まで完全に下部組織扱いしてきたところに、盛り上がりをさらわれるようなことも、あっていいようなことではない。だからやはり世界トーナメントは必要となるな。ローカル団体とは違うという、権威付けの装置としてな。ただ、この階級は欧米の選手層も薄くなるし、ヘビー級や70キロ級のように「世界最強を決める」などと気張らなくてもいいじゃろう。タイも含めたアジアが中心になる。必要ではあるが、重要度は低くなるじゃろう。ただ、あまり無下に扱ってもいかんな。そこが上の階級と違うところだ。つかず離れず、関係を深めていかねばならん
 
 と、言いますと?
 
「63キロのコンセプトは、各団体のキック王者を集めるようなことではないんじゃ。最大の注目点はK-1甲子園から始まる「育てる楽しみ」じゃよ。各団体でも甲子園のトップ選手が勝ち始めて、やっとそれが浮き彫りになってきたな。地元の選手、自分も通うジムに所属する選手、自分の兄弟や子供……そういう身近な存在が活躍し、階段を上がっていく。選ばれし者が集う場所ではなく、どこにでもいる存在……あるいは自分自身が活躍できる舞台。日本人が等身大のまま活躍できて、ファンレベルの人間が直接関われる舞台。それが63キロ級じゃ。根本的に上の階級とは狙いが違うのじゃよ」


「しかしK-1甲子園と、開催回数の限られたMAXのリングだけでは、その身近な感覚を出すには至らない。選手が段階的に経験を積む場、ファンがそれを身近で体感する場として、キックボクシングジム群によって運営されるローカル団体の存在が不可欠なのじゃ。K-1はそのヒエラルキーの頂点に立つが、収奪する立場になってしまってはいかん。下の盛り上がりをすべてつなげていかねばならんからだ」


「だから、選手などもある程度までアマチュア的でいいんじゃな。親しみの持てる身近な存在であってもかまわん。アスリートの技術戦はMAX、超人同士の激突はWGPに任せ、63は等身大の舞台として見るのが良かろう。既存のファンはキックボクシングの文脈による制圧と矮小化を懸念したかもしれんが、甲子園出身者がそんなものは軽く吹き飛ばしつつある。逆にK-1側が取り込むんじゃよ」


「ただ、やはりこれは今までのK-1のコンセプトとは、似て非なるものじゃからな。63キロ級はある意味、K-1であってK-1ではない。日本ローカルではいいが、この階級だけではやっていけない。逆に技術的先端を目指すべき70キロ級は、ヨーロッパでは日本における63キロの役割も今まで通り担うことになるからの」


「残念なところというか、懸念としては、もう少し早くスタートしていれば、もう少し好況が続いていれば、というところじゃな。母体が傾いでおるからのう。アマチュアシーンの盛り上がりにつながるような、プロシーンの盛り上がりが期待できるかどうか。やはり他階級の隆盛が鍵じゃな」
 
 ありがとうございました。では来年の注目選手について。
 
「一敗地に塗れたとはいえ、日本王者・大和の役割は大きい。このクラスにはやはりプロとしての実力が求められる。大晦日のウィッキー戦は重要な見本市じゃな。始まったばかりのこの階級には、競技的権威が何もない。ファンにとっては身近な存在であってもいいかもしれないが、選手個人としてはスターの領域まで行きたいかもしれん。その辺りも試されることになる」


「ある意味、63キロはぬるま湯になりかねない。キャラクターだけでも生き残れる舞台になってしまうかもしれん。そこで安住せず、強さを追求できる選手がどれだけ出てくるかのう。久保もかなり完成された選手だが、ちやほやされていては伸びるものも伸びなくなる。厳しい課題を与えていかねばな」


「キザえもんも、早くも分岐点じゃな。関西人としての地元からの支持とビッグマウス石川直生を葬って、認知度は充分。しかし韓国の無名選手に煮え湯を飲まされた。大衆は、そっぽを向くのも早い。さすがに弱くては話にならん」


ファイヤー原田も、高校生に簡単にやられたのう……。意味不明なまでのカリスマ性も、さすがにリングに立っているのが一分間ではな……。この選手も、もう少し早く世に出ればのう」


「正直、選手に関しては、いちいち挙げておってはきりがない……。何しろ、こうしている間にも、日本のどこかで注目選手が生まれているかもしれん」
 
 ありがとうございました。では、そろそろまとめを……。
 
「甲子園組の活躍には、これからも要注目じゃ。正直、ここまでの躍進がなければ、今まで語ってきたコンセプトも絵に描いた餅で終わっておった。そろそろ立ちはだかる選手が登場してきた方が面白くなるのう。裕樹あたりにはまだまだ期待したいな。じゃが、何といってもやはり「育てる楽しみ」じゃよ。特にジム通いしとるような人は、横で練習しておる小学生が、明日のスターになるかもしらん、と夢を託してみて欲しいのう。わしのような老人も、そういう若者の成長が、人生の励みになるんじゃよ」
 
 人体実験上等のマッド・サイエンティストが、よく言いますね……。
 
「むむっ、やかましい! 来年に向けて、プロジェクトKはさらなる新型を投入するぞ! 期待して待っておれ!」
 
「くっくっく、そろそろ終わりかな? まったく世話の焼ける奴だ……」
 
「お疲れさまでした〜! みんな〜ありがとう〜!」


「ガルル……」
 
 え〜、守護霊の皆様、今回はありがとうございました! また来年も語っていけたら、と思いますのでよろしくお願いします!
 
 ご覧いただいた皆様も、お遊び企画に長々とお付き合いいただき、ありがとうございました! 次回は大晦日の感想になると思われます。K-1及び格闘技、来年も楽しんでいきましょう! それでは良いお年を〜!



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「美しき死神」アルトゥール・キシェンコの守護霊による2010年K-1MAXシーンの総括!

  では前回に続きまして、スペシャルゲストに登場してもらいます。K-1MAX2008準優勝、「美しき死神」の異名を取るアルトゥール・キシェンコ選手……の守護霊の方に登場してもらいます! どうぞ〜!

 
「みなさ〜ん! こ〜んば〜んは〜!」
 
 こんばんは〜。
 
「あれ〜? 元気がないぞお?」
 
 すいません、これは後で文字起こしするブログの記事なんで、生のリアクションは期待せず、さっさと座ってもらえますか。
 
「つまんな〜い。え〜と、皆さん改めましてこんばんは! 皆さんから見れば……死ぬ間際に枕元に立ってる人です! よろしくね! 最近は、キシェンコ君に憑いてます!」
 
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  今年のキシェンコは不調に終わりましたね。3連敗でしたが、ようやくエバーグ戦で復活勝利をおさめました。

 
「72.5でやれたってこともあるんですけど、あのお腹のすごい人の指導も良かったんだと思います! キシェンコ君、結構のりやすいところがあるんで。まだあのジムに居着くかどうかはわからないですけど、いいきっかけになったと思います。今回、あのバダ・ハリがいなかったんで、あのいつも偉そうなあいつもあんまりいなくて、のびのびできました! まあケダモノはいたけど……」
 
 そのうち、マヌーフさんの守護霊にも登場していただきたいですね。言葉が通じるかも怪しいですが……。
 
「エバーグさんは地元だから意地で粘ってましたけど、2ラウンドにボディが効いちゃってからはあっぷあっぷでしたね。あの圧力は想像以上だったんじゃないかな? ほとんどKOでしたね! 来年はこの調子で、バッタバッタと薙ぎ倒しますから、期待していてね!」
 
 では、今年のMAXシーンについて。
 
「えっとお、今年はスケジュールもなかなか決まらないし、トーナメントの日程はばらけるし、落ち着かない年でしたね。ごめんね! あたしが謝ってもしようがないんですけど(笑)。テレビ屋さんの都合や、やる気のなさに振り回されちゃいましたね。資金難にも、一番しわ寄せを食った階級だと思います。来年は立て直してほしいですね」
 
「ただ、今まで70キロが果たしてきたある役割は、今後、どんどん63キロに移管していくと思うんですよね。必然的に、今までとは同じでいられないと思います。ただ、その魔裟斗さんが去ったタイミングに合わせてペトロシアンという王者が誕生し、技術革新が起きつつあることは偶然じゃないんじゃないかな。今は過渡期だと思います。テレビ向きではなくなるかもしれないけど、より競技的に進化する可能性は、やっぱりこの階級がキーじゃないかな。海外でも偽ペトロシアン?と思うようなスタイルを使う選手が少しずつ増えてますね。分厚い選手層が、さらに進化を促すと思いますから、マニアさんは要注目、そこは変わらないですね」
 
 それでは、二連覇を果たした王者に関して。
 
「やっぱりペトロシアンは強いですね! 今年は、正直去年からのケガを引きずって、練習不足だったと思うんですよね。テクニックやフィジカルが落ちたわけじゃないけど、自分自身で新しいテクニックを模索したり、新ルールに対応する時間を取ることができなかったと思うんです。でも、去年からの貯金で優勝しちゃったし、来年はまたもう一つ伸びてくると思います。今年だけ見て「ペトロシアン危うし!」とか思ってたら、痛い目に合いますよ〜?」
 
 準優勝の佐藤選手と、他の日本人については。
 
「佐藤さんは変にジムを変えないで、集中してやってますね。あれが出来るのは大きな長所だと思います。もちろん、あの声の甲高い「右ロー右ロー右ロー! ローで落ちるローで落ちるローで落ちる!」って言う人の力もあるんでしょうけど、続けるかやめるかの二択まで常に自分を追い込んで、目移りしないのはすごいですね。で、逆にリングは選ばない。「K-1」っていうイベントからの目線で見ると物足りないけど、「立ち技」っていう競技の観点から見たら、これだけ真面目でプロ意識のある人はいないですね!」
 
「コスプレの人も、シルバーウルフに移ったけど、この人もこれからはあんまり動かないんじゃないかな〜。何だかんだ言って、魔裟斗さんを輩出したシルバーウルフは、もう権威ですよね。この人は、たぶんあんまり選手寿命長くないんじゃないかな。成功するにしろしないにしろ、移籍してまで続けたりはしないと思います。自分で「奇跡の復活」なんて言ってるとこが危うい感じですね。来年の日本トーナメントで負けたら、今度はもう立ち直れないかもしれないね!」
 
「湘南の人は、あの顔に似合わないガツガツした感じがいいですよね。キシェンコ君もやられちゃったし……でもサワーさんにキュッてされちゃってかわいそ! キックの他にボクシングもやりにいく彼のスタイルは今の定番だと思いますけど、北米の総合ジムなんかは、一カ所に立ち技、柔術レスリングのトレーナー全員集めてやってますよね〜。そういう環境がないと、いつまで経ってもあのミドルと手打ちパンチは融合しないんじゃないかな?」
 
「優弥君は、タフだし安定してますね〜。総合の選手とかには、彼は結構強いと思いますよ。もっと対抗戦とかに押し出していけば、光るんじゃないかな。中島君あたりの強いけど荒い選手には、相性いいですね。でも、正統派として見ると、佐藤さんやヒナタンに比べると一枚落ちちゃいますね」
 
「中島君がブアカーオさんとやるのは、すごく楽しみです! たぶん、嬲り殺しにされちゃうと思うけど……ウフッ。でも、これは結構大事な試合になると思います。彼が試合の中で今後不利になった時、「いける」か「いけない」かが、この試合で決まっちゃうんじゃないかな?」
 
「城戸君は……むふふ、彼は期待されなくなってからが勝負。来年は誰も期待しないだろうけど……でも、舐めてると来るよ!」
 
 海外勢についても、まとめて。
 
「今年はクラウスさんとザンビディスさんが、新ルールをいち早く活かして活躍しましたね。毎年いつ衰えるか、そろそろ落ちるか、って思うんですけど、調子をキープしてるし、K-1シーズンに入ったらそれに専念して、余計な試合をあまりしてないのもポイントですね」
 
「その点、ドラゴさんはits showtimeと関係が近すぎるのかな。うまく調節できてないですね。モチベーションで左右されるタイプなのに、ホームのはずのリングで勢いがないってのは考えものですね。ちょっとルッツさんは考えた方がいいと思いますよ!」
 
 今年は新鋭の躍進も目立ちました。
 
「そうですね〜、カマル君もグロガフスキー君も、持ち味出しましたよね。でも来年またすんなり出られるのかな? イベント数の問題もつきまといますし、ちょっと心配ですね。ドラゴさんのスケジュール調整の問題なんかと合わせて、これはFEG側が改善してかないとダメな点だと思います」
 
「それと、サワーさんとブアさんですね〜。サワーさんは来年はスケジュールあくだろうし、ブアさんもS-CUP取ってまた箔をつけましたね〜。来年は凱旋ということで、また復活してもいいと思います。特によその王者を参戦させて、自分とこの箔をつけるっていうのは、本来はK-1の得意技のはずなんですよね。トーナメントも毎年開催するにしても面子は時々入れ替わってもいいし、隔年開催ぐらいで、よそのリングで戦ったりワンマッチしたりした方が、うまく幻想が高まったりすることはありますね。前年ベスト4が出ない、ってのは問題ですけど、うまく話し合って、もめてる印象をつけないでほしいですね! 二人とも、最初から、「S-CUPに出るからK-1には出ない」ってことになってたら、こんなもめてる印象はなかっただろうし、「K-1代表」のブアカーオが優勝かっさらって万歳だったはずなんですよね。みんな〜、仲良くしようよ〜!」
 
 ありがとうございました。では、続いて63キロについて……。
 
「ふえ〜ん、眠い〜。もう飽きちゃった〜……ウソウソ(笑)。でも63キロについては、あっちで博士がジト目で見てるから、あのおじいちゃんに聞いてあげてね!」
 
 では、MAXファンに向けてメッセージをお願いします!
 
「ごめんなさい、70キロのファンの方は、TBS傘下でお尻の痛い、痔になりそうな思いをする日々が続くかもしれません! でも豊富な選手層とヨーロッパ戦線との絡みで、新しい選手がどんどん入ってきてシーン的にも技術的にも活性化する楽しみは、この階級じゃないと味わえないと思います! 技術的な分析や、海外情報も合わせてチェックしながら、来年もじっくり見ていきましょ〜! みんな〜、今日は長いこと聞いてくれてありがと〜! またね!」
 
 お疲れさまでした、キシェンコ選手の守護霊の方でした! では次回は63キロ級について、タイプH研究主任の博士にうかがいたいと思います!
 
「ふん、長々と待たせおって……」


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「悪いオバマ」ことバダ・ハリの守護霊による、2010年K-1WGPシーンの総括!

  皆さん、こんばんは。まだ大晦日は残っていますが、一応、今年のK-1も新王者誕生によって幕を閉じました。今回もおなじみ、「悪いオバマ」ことバダ・ハリ選手……の守護霊の方に、今年を総括する意味でお話をうかがいたいと思います!

 
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 さて、今年は資金難など、FEGにとっても大変な動乱の年でした。会場規模の縮小、視聴率の低下など、人気低迷がある一方、新階級63キロのスタート、PPVの開始などのトピックもありました。簡単に、印象に残っておられることなど。
 
「やれやれ……いきなりつまらん話題だな?」
 
 申し訳ない……。しかし、結局のところ、今年もっともファンを騒がせたのは、リング上ではなくこういったことでして。
 
「いいだろう。この国全体が不景気になってるそうだが、どうも国民やK-1ファン、格闘技ファン、みんなつられて、どんどん発想が小さく、貧乏臭く、守りに入っているようだな。聞けばやれこの階級はいらない、やれこの放送局はいらない、やれこんな選手はいらない、やれどこそこの国ではやらなくていい……。馬鹿なことを言っている。全部いるよ。必要って意味じゃないぞ、全部欲しいんだ」
 
 はあ……しかし運営の資金難というか、リソースが足りないのでは、と……。
 
「だからそういう自称現実主義が、どんどんダメにしているんだよ。そんな心配はあの育毛剤男が裏でしておけばいい! 理念の話をしているんだ。理想はなんだ? その資金とやらを稼ぐのに必要なことはなんだ? あらゆる階級でやることだ。あらゆる放送局でやることだ。あらゆる人種の、あらゆる格闘競技の選手が、あらゆる国から参戦し、地球上すべての国で開催されることに決まっているだろう。世界中の人間がK-1に熱狂し、身を捧げ、血を流し、金を落とし、魂を売ることだ。今は無理に決まってるし、おまえらたかが人間如きが、そうそう達成できるものじゃない。だが、最終目標はそれしかないし、どん底だろうがそこを目指して動くべきだ」
 
 まるで、最近のダナ・ホワイトが言ってることのようですね。
 
「そうだな、あのハゲはよくわかってる。奴のことを大口だと批判してる人間を見ろ。PRIDEの尻馬に乗っかってほざいてた奴は混じってないか? 同じ事を言ってるに過ぎんだろう?
 いいか、ただでさえ、やってる奴はみんな守りに入りたがるんだ。経営者は会社と自分自身の利益を守りたがるし、選手は小銭を稼げる地位を守るために弱い相手とやりたがる。そして自分では何もしない取り巻きがそこにたかり、保身のための悪知恵を授け旨味を吸い取る! まったく馬鹿げているよ。それを理念を掲げて止められるのは誰だ? ファンしかいないだろうが。利益に関係なく、ただ好きか嫌いか、面白いか面白くないかで判断出来る、気楽な立場にいられるファンだからこそ言える事があるだろう!」
 
「もっと上から見て多くを求めればいいのだよ。つまらない選手への貧乏ったらしい共感などいらん。必要なのは力だ。強さだ。経営者も格闘家も、それがない奴は消え去ればいい。いいか、私や……そうだな、神の奴の立場に立ってみろ。全身全霊をかけて自分に最高のショーを見せるべき人間共が、ちっぽけな欲のために相手から逃げ回り、ちまちまと金勘定していたらどうだ? つまらないだろう? そんな奴はつまみ出したくなるだろう? それでいいんだよ。もっと理念を考える事だ」
 
 なるほど、人間の理屈を超えた方らしいご意見です。では、今年のWGPについて……。
 
「ふん、私の王子が不在でどうなることかと思ったが、まずまず盛り上がったようじゃないか。ピーターを見ろ。さっき言った理念の体現者だよ。全身全霊で勝ちにいく。しかも、奴は理念をあくまで体現しているだけで、理念のために行動してるわけじゃない。奴自身は勝利、名誉、金、家族、K-1への愛着、そんなもののために戦っている。経営者のやるべきことは、理念を口にすることじゃなく、選手に「勝てば美味しい」と思わせることだ。人それぞれ欲しいものは違う。だが、戦って勝つことがそれを手に入れる、守る事につながると思わせるんだ。そうすれば、自然と面白くなっていく」
 
 では、面白くないと言われる選手の代表であるセーム・シュルトですが……。
 
「王座陥落だな。だがな、ピーターだってもう40のオヤジだ。奴だって楽な勝ち方ができるものならしたかったはずだ。動いてポイントアウトできるなら、きっとそうしただろうさ。だが、セームにはそれでは絶対に勝てない。セームがあれだけでかくてあれだけ強いから、ピーターは老体に鞭打ってやる気を絞り出して真っ向勝負をしなきゃならなかったんだ。セームじゃなければ、ピーターのあの戦いはなかった。奴だって立派な功労者だよ。まあ人気はないが、4回分の優勝賞金は手に入れてるんだ。今度も5度目を取りにきた。勝てなかったが、充分、報われているだろうさ」
 
 ベスト8の選手に関しては?
 
「ふん、セームと同じく、モーはナイスアシストだったな、くっくっく……。反応が鈍って打たれ弱くなってる。まあ、あれが普通の40代だよな。来年の開幕戦では、きっちり消えてもらいたいな。
 京太郎も、ジェロムに勝って少々下駄を履いていたところがあった。まああんなものだろう。今年は充分過ぎる成績さ。ピーターだって春の惨敗がなけりゃ、ここまでのモチベーションがなかったかもしれん。……ククク……さっきから、何でもピーターに結びつけてるな。まあ、春に惨敗した時から、実は今年は奴の年だったってことだ」
 
 それは言えてるかもしれないですね。では、反対のブロックですが。
 
「ギタはギャンブルしない悪い癖が出たな。バルラック戦もそうだったが、頭が固いのか性格が保守的なのか……「サムライ」らしいよな、ははははは。ジマーマン戦の貯金がパアだ。まあサキの腕一本取って面目は保ったが、また出直しだな。
 逆にスポーンは面白いな。ギャンブルしなければ勝ってたかもしれんぞ。ただ、それじゃ意味がないと考えたのかもな。これも一つの理念だよ。ただ勝つだけじゃだめだ、と思えるものが一つでもあると、面白くなってくる。K-1はそういう付加価値をどんどんつけていかないとな」
 
 準決勝で惜しくも敗退したサキですが。
 
「昔、ブレギーの奴にのされた時は、ここまで来るとは思わなかったな。嫌な奴だ……バダから見れば実に嫌な奴だ……ああいうギラギラした奴が、一番怖いんだ。片腕でアリスターに勝つつもりだっただろう? いかれてるよ、ククク……。来年は京太郎の首を取りにくるかな? また盛り上げてくれそうだな」
 
 新チャンピオンのアリスターについては。
 
「広告塔、ご苦労(笑)。まずはおめでとう、と言っておこう。だが覚えておけよ筋肉ダルマ。来年は悪魔王子がまた貴様のもろい顎を打ち抜く。得意の腰抜けブロックを、せいぜい磨いておくことだ。今のうちにいい気分になっておけ!
 ……それはさておき、またやっかいな選手になったな。サキ戦の追い足を見たか? あれだけ動いても、どんどん射程に入ってくる。攻撃のバリエーションも豊富になってきた。セームもブアカーオも、膝が制限されるようになって、腐らずに他の技を磨いた。まだ強くなるだろうな」
 
 ありがとうございました。他の選手もまとめて……。
 
ハリトーノフの敗北は意外だったな。あんな惨敗は、あの皇帝の弟にやられた時以来か? 少々、自信を持ち過ぎていたようだな。ボクシングテクは攻撃だけじゃなかったはずだ。また磨いて出直すべきだろう。
 シングは甘く見ていたよ。相変わらずヘタクソなパンチなんだが、膝と合わせてうまく効果が出てるな。アウトボクシングにもこだわらなかったし、良くなってる。もっともまだベスト16レベルだ。若いんだから、色んなタイプの選手とやらせればいいだろう。
 テイシェイラはこれでしばらく離脱かな? モチベーションが高かったな。極真時代の戦いぶりを知らんのだが、とりたてて決め技があるわけじゃないが、スタミナと手数で攻め続けるタイプだったのだろう? その本来の姿を、やっとK-1で出せるようになった、ということだな」
 
 テイシェイラ、復帰後は期待が持てますか?
 
「うーむ、そう言おうと思ったんだが……フィリオの事を思い出してしまったよ。ホーストをKOして離脱して、復帰した途端にジェロムに木っ端みじんにされたよな。まあジンクスには気をつけることだ。
 ジマーマンは良くなかったな。まあムラのある選手だが、良くないなりに勝つスタイルも身につけないと、トップには立てないな。
 カラケスはよくわからなかった。気の毒なことだな。日本での相手はセーム、セーム、藤本だ(笑)。ありえないだろう。もう少し、奴の強さを印象づけるようなカードを組んでやってほしいな。そうした方が、いずれ倒す時に美味しい」
 
 ありがとうございました! 来年のバダ・ハリに関しては……?
 
「今年は棒に振ったが、私の王子のピークはまだまだ続く。あせることはない。バダでは勝てない!と思うような選手が一人でもいるか? もうバダは全員に勝っているんだ。いまいましいレミーの奴も引退だ。来年は、残りをまとめて始末してやる」
 
 では、続いてMAXについて……。
 
「もう勘弁しろよ……。知っているぞ、裏でうずうずしてるあいつの事を。近頃、マイクスジムにあいつがちょろちょろするようになって、うっとおしくてかなわん。他の事はあいつに聞け。一応、専門になるんだからな……」
 
 はい、では今日は長々とありがとうございました! 最後に一言、何か!
 
「楽しんでいるか? 余計な心配はしても無駄だ。楽しめ。おまえたちの欲望、興奮、快楽、全てが私の糧だ。おまえたちなりのやり方でいい。だが、とにかく楽しむことだ。そうすることが、結局はおまえたちとK-1の繁栄にもつながるのだ」
 
 お疲れさまでした! バダ・ハリ選手の守護霊の方でした! では次回は、新たなゲストに登場してもらいます!
 
「はぁーい! みなさん楽しみに待っててね!」


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