“狂気の戦士”『機動戦士ガンダム THUNDERBOLT BANDIT FLOWER』『機動戦士ガンダム Twilight Axis』


『機動戦士ガンダムサンダーボルト BANDIT FLOWER』予告編

 ガンダム二本立て!

 なんか上映時間長いな……と思ったら、二本立て上映でした。

 先に『Twilight Axis』から上映。UCから数ヶ月後のアクシズを舞台に、調査に入った連邦の特殊部隊が謎の部隊の急襲を受ける、という話。調査に入ったのが元ジオンの技術者とテストパイロットで、アクシズ内に残っていたMSを起動させて反撃する……。
 30分ぐらいの話なのだが、過去回想である1年戦争時代の話と現在のアクシズを細切れに前後させながら進めるので、とにかくわかりづらい。時代背景ぐらいは飲み込んでいないと話にならないのだが、それ以上に主人公たちの過去に多大な影響を与えたらしい「シャア」と「ララァ」が、まあセリフもないし非常にぼんやりとイメージ的に登場して、実に過去の名キャラクターらしく思わせぶり。まあ要はそれっぽいことがあったんですよ、という便利な使い方をされているのだな。

 尺が倍もあれば、主人公二人のキャラをじっくり描けたと思うが、すべてがイメージの羅列でぼんやりしている。さらに連邦の部隊なのに元ジオンの人間で、使うのもジオンのMSという、まあ理屈はわかるが絵面としては納得しづらい状況。襲ってくる謎の部隊はガンダムバイアランということで、これは民間企業の所有……。うーん、NT-1アレックスの後継が民間で出てくるというのもわかりづらい話だ。
 ザクIII改などこの時代のMSは好きなのだが、クライマックスの対決もニュータイプネタでぼんやり分かり合う安っぽい展開で、外伝作品としてもアウトだな……ただまあこの後の『サンダーボルト』の奇をてらったメカ描写より平凡ながら正統派なので、これはこれで需要があるのだろう……。

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 『THUNDERBOLT BANDIT FLOWER』はシリーズの第2作目ということで、宿命の対決を経たダリルとイオ、二人のその後を描く……んだけど、今作だけでは終わりません! 対決もお預け! どこまで進んでるのかわからないが、連載もまだ続いてるから、そりゃ終わらんわな。
 舞台は1年戦争後の地球で、前作の宇宙空間での超高速戦闘から打って変わって、地上、空中、水中でのやっぱり高速戦闘! おなじみ、武装を使い切るごとにパージしていくアクションをふんだんに見せながら、今作ならではのMS戦闘を見せる。
 もうメイン二人の人物描写は前作で終わっているので、その他の状況とバトルバトルバトル……再度の対決を迎えるためのお膳立てがずっと続く。見応えはもちろんあるのだが、なにせ中途半端なところで終わるので満足度は低い。
 連邦でもジオンでもない今作オリジナルの「南洋同盟」という新たな敵が登場し、仏教思想とニュータイプ思想の融合が図られたような複雑な設定に。さあ、これが次回作以降、どう絡むのかな……。

 アッガイゴッグズゴックなどの水中MSも多数登場する上に、連邦側もジムのバリエーションやガンキャノンなどが登場。その中で「アトラスガンダム」が異彩を放つモンスターぶり。さあ新生サイコザクはこれに対抗できるかな?
 相変わらずのジャズVSポップス対決もあるが、なにせやっぱり直接対決しないので、単に鳴らしすぎに聴こえて少々鼻についた感もあり。

 何せ一区切りもつかないので、まあ次回に期待したい。来年というわけにはいかないかな?
 ところで今回はイオがかなり丸くなっていたが、『Twilight Axis』も合わせて見てると、なんで最近はガンダムは人格破綻者が乗るものになってしまったんだろうな。いや、ある意味昔からそうだったのかもしれないが……。