“死者は囁く”『フラットライナーズ』
臨死体験映画リメイク!
人は死んだらどこへ行くのか? 妹を不注意による事故で失った過去を持つ医学生のコートニーは、臨死体験に取り憑かれ、ついに自らの心臓を止める実験に手を染める。医学生仲間の力を借り、数分間の「死」から覚醒したコートニーは、自身の能力の冴えを実感する。医学生仲間たちも次々に体験するのだが……。
キーファー・サザーランド、ケビン・ベーコン、ジュリア・ロバーツが揃って出演し、青春映画のカラーも濃かったオリジナルから早二十数年。まさかのリメイクですよ。主演はエレン・ペイジ、ディエゴ・ルナなど。
オリジナルも、臨死体験したら過去の悪行の罪悪感に悩まされるようになり、かつての被害者に謝りに行くという話。いやその頃からすでに、臨死体験が全然関係ないやん、お話変わってない?と思ったものだが、今作もその筋立てをそのまま踏襲。一応最新技術を用いた医療サスペンスめいた前半が、暗闇から怖いメイクした過去の人物が襲ってくる普通のホラーっぽいルックに転換していく。
オリジナルはまあ珍作の部類に入ると思うが、やっぱりそのままそれをなぞっても珍が凡になるだけじゃないの、という感じね。主要人物の中でディエゴ・ルナだけが臨死体験をしなかったり(蘇生技術がトップなので、彼が死ぬと生き返らせる人がいなくなる)、人を死なせた過去を持つ人物が二人いたり、ちょいちょい設定も変わっている。
エレン・ペイジが、脇見運転で事故を起こし妹を死なせた過去があることが冒頭で語られ、オリジナルのキーファー・サザーランドと同じく主役的な立場にいることが示唆される。途中、罪悪感を払拭するために謝りに行こう、という話になるが、もう相手が死んでこの世にいない場合は一体どうすればいいんだ、という難問が突きつけられるわけで、オリジナルではもう一回臨死体験して死後に謝る、ということだったかな。今回も大筋では同じなんだが、中盤に一つサプライズが仕掛けられていて、これはオリジナルを見てればよりびっくり、というところではないか。
しかしそこからはホラー演出がどうも陳腐で、無線機が勝手に鳴ったりするのはそもそも罪悪感と全然関係ないだろ、とか、単に怖がらせのための怖がらせになってしまっている。さらにナイフで刺したり突き落としたり、物理的に殺しにかかってきたりもするしな……。もうちょっと心理的アプローチで攻めればもう少し見られたものになったかも? 罪悪感の元である被害者はどこかで普通に生きていたりするので、「罪悪感を利用している何か」が襲ってきているんだ、という解釈も語られるが、それも謝ってるうちにうやむやになってしまうので……。
キーファー・サザーランドが指導医役でゲスト出演していて、医療の何たるかを語ったり、「君たち、何か隠してない?」と問い詰めるあたりは、おまえが言うなという感じで結構笑えますね。まあつまらないが怒るほどでもない映画でした。
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