”探し続ける者”『BLAME!』


劇場アニメ『BLAME!(ブラム)』本予告② BLAME! The Movie Trailer②

 弐瓶勉原作漫画のアニメ映画化。

 都市をコントロールするアクセス権を失った人類を尻目に、機械は次々に増殖し、人間を狩りながら都市を増築し続けていた。密かに生き残った人間たちが隠れ住む村も食糧危機に見舞われ、少女づるは仲間と共に大人に黙って狩り場へと出向く。だが、セーフガードに発見され、そこで霧亥と名乗る謎の男に助けられる……。

 原作は未読(『シドニアの騎士』は3巻まで読んだ)で行って来ましたが、いきなり世界観が投げ出される割には、なかなかわかりやすい。『アイ、ロボット』みたいな顔した敵のスピード感、都市を改築し続けている機械の巨大感などと共に、その都市の途方も無い広さを表現。人間は限りある資源、お粗末な装備で、対抗というほど対抗できるわけでもなく、なるたけ避けて逃げ回り、残った乏しい資源を求めて生き続けている……。

 資源を求めて、大人たちに黙って村を出た少年少女たちが、その無謀の代償を命で支払おうとしていたその時、一人の男が現れ、「アイ、ロボット」から彼らを救う。ろくにしゃべらず、なんだかガッチャンガッチャン歩く感じの、まさに『ターミネーター』ですね。村人のテクノロジーではありえない、凄まじい銃も持っている。「俺は人間ダ」というけど、どう見てもおかしいよ! 人間味を見せるシーンはまさに全然なく、プログラム通りに動き回ってるっぽいのだけれど、ただどこかしら何がしか感情があるのではないか、という投影が、村の少女を通して我々観客にも起こるのは面白い。演じるのは櫻井孝宏で、そういえば彼はサイボーグ009もやっていたのであった。かの作品では、もちろん島村ジョー=009という人間味あふれるキャラクターだったわけだが、不思議と今作のキャラにも一脈通じるような……?

 途中、『マトリックス』っぽく電影世界の元締めと対話するシーンなんかもあったりするが、それよりも『ターミネーター』オマージュの味わいが強い。後半にかけてイケメンながらマッチョな主人公が、細っこい女ターミネーターの火力とパワーに押されまくるあたりは『ターミネーター3』だ! シュワちゃんクリスタナ・ローケンにボコボコにやられてる感じね。

 機械側はもっと緻密にやってればいくらでも人間を殲滅できそうで、人間側も意図的に穴を突くことで生存しているという風には見えないあたり、こういうシチュエーションを作るための緩さという感じ。一方で映像やシナリオで表現されたその世界の広大さは非常に魅力的で、その果てなき鋼鉄の荒野をプログラムのために……あるいは己自身のために……? 彷徨い続ける主人公の格好よさはなかなかいい感じ。最後は『マッドマックス 怒りのデスロード』になってしまったがな……。

 ちょっとオマージュに走りすぎな感はあるが、映像、音響、美術などは一見の価値ありで、アニメアニメしたところも含めて、今の日本製CGアニメの先端を行ってるんじゃないかな。まずまず良かったです。