”kindleを止めろ!”『ゴーストバスターズ』
あの名作をポール・フェイグ監督がリメイク!
コロンビア大の物理学者エリンに持ち込まれたのは、なんと幽霊の調査依頼? かつて親友のアビーと共著で出した幽霊研究本が世に広まっていたのだ。無断で出版していたアビーを数年ぶりに訪ねたエリンだが、調査への参加を約束させられてしまう。エリンとアビー、アビーの相棒のジリアン・ホルツマンと共に幽霊を映像に収めに行くのだが……?
主人公の性別を女性に変更した、珍しいリメイク。クリステン・ウィグとメリッサ・マッカーシーを主役コンビに据え、ケイト・マッキノンとレスリー・ジョーンズが左右を固める。
オリジナルは一作目は見たが、『2』は見てないような気がする……?
大学の終身在職権を目指すクリステン・ウィグだったが、若気の至りで同級生と出した「幽霊」発見の著書が、絶版にしたはずなのになぜか市場に再び出回っていることを知る。まともな研究者の名声が地に堕ちる前に止めようとするが、出しているのはやっぱり元同級生のメリッサ・マッカーシーで、彼女はいまだに幽霊の研究を続けていた。知らない間にkindle版まで出されていて、幽霊研究を一時的に手伝うことを条件に、差し止めしてもらうことに……。
若い頃は親友だったが、今は疎遠になっていて……というのは女性の友情に限らず、よくあるパターンで、しかも一方が昔の夢にしがみついていて、同じ夢を抱いていたはずのもう一人はリアリストに「転向」している、というのはその中でも特に物悲しいやつではなかろうか。エドガー・ライトの『ワールズ・エンド』もそうだったが……。幸い(?)今作では「幽霊」が実在するので、リアリストになった側が昔の想いを取り戻すことが良きこととして描かれる。
平凡な容貌で、保守的になってしまっているクリステン・ウィグに対して、メリッサ・マッカーシーがさぞ狂気的なキャラになっているのかと思ったが、ここで彼女と組むマッド・サイエンティストのケイト・マッキノンが登場。この人もガチのコメディアンで、演技というよりギャグ担当。これがおなじみの変なメカを次々と持ち出して、見せ場をかっさらってくる。その間にはさまって、いまいちメリッサのキャラが立っていない。『SPY』でも「平凡な中年女性」としての面を持ち、常識的な感性のキャラだったが、今回はちょっとそれが裏目か……。
が、もう一人、肉体派のレスリー・ジョーンズが加わり、メンバーが揃って武器の試射などやり出すと、急激にメリッサの面白さも増してくる。キャラ立ちが弱いのはそのままとしても、やっぱり「デブが変な動きをする」面白さはまた格別なのだ。思えば『SPY』も大半はその面白さが担っていたわけで……。走るデブ、転ぶデブ、飛ぶデブ……。
電話も取らないバカな秘書役としてのクリス・ヘムズワース、確かに大変バカで、顔と身体がいいから許されるという役回り。しかしただただこういう役なのかと思いきや、実はメインの悪役も身体を乗っ取られることで兼任していたので、当初の触れ込みより意外に美味しい役だったのかもしれない。
事件が本格的に動き出したり、メンバーが揃ったり、クライマックスが起こったりするのがなぜか一歩一歩遅めな感じで、常に少々もどかしい感じを抱えさせられた。もうこうなるしかない、というシンプルな話運びなのに、展開する一歩手前で常に停滞する感じで、そうなるとギャグも少々もどかしい。
「ゴーストバスターズ」結成以後も、名声が高まるかと思えば邪魔が入り、なかなか疎外感が解消されない。それもクライマックスの大破壊につなげるためだろうが、終始エンジンのかかりが遅い印象だったな。
まずまず面白かったが、少々食い足りない印象。カメオ出演も、まったく前作と関係ないキャラとしてだったりするとかえって冷めるんだが……。3Dでお祭り感覚で見ないと、ちょっと弱いかもね。
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