"古きか新しきか"『コードネーム U.N.C.L.E』
ガイ・リッチー監督作!
東西冷戦の最中、蠢動するナチス残党。任務についていたCIAで最も有能な男ナポレオン・ソロは、ロシアのエリートスパイであるイリヤ・クリヤキンの追跡を辛うじてかわすが、次の任務でそのイリヤと組まされることに。水と油、犬猿の仲の二人だが、協力してナチスの核兵器開発の陰謀を追う……。
やっと『シャーロック・ホームズ』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120331/1333159527)から離れたか……というガイ・リッチー。まあかのシリーズもそんなに嫌いじゃないですが、ダウニーJr.はすっかり『アイアンマン』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130502/1367490315)の人になっちゃったからな。
今作は冷戦時代が舞台のスパイ物。主演はヘンリー・カヴィルとアーミー・ハマーのコンビ。アメリカ人スパイとロシア人スパイが、上層部の利害関係の一致から手を組まされる……というお話。
まあ何せガイ・リッチー映画だから、ガチャガチャして薄くて軽くて……ということになるのかと思いきや、古き良きスパイ映画の体裁を目指しているせいか、意外にもカメラワークのチャカチャカしたアクションがなく、おかげで非常にスマートな印象。まあよくよく観ると全然内容もないのだけれど、洒脱なルックが妙にリッチー演出にハマっている。ガイ・リッチー的には新境地だけど、やってることは古い……という、何か不思議な肌触り。
その中で、何で見ても中身のないイケメンだな、というヘンリー・カヴィルが、今作ではその薄っぺらさを開き直ったかのように格好だけのスパイ像を磨き上げ、やや古典的な風貌を最大限に活かす。
そして相棒役はアーミー・ハマー。ロシア人役ということで、熊のように大きな男。この人、アクションスターじゃないけど、のっそりとでかいんだよな。でかいのに動きは早いし、まさに熊だ……。基本、口下手なキャラクターなのだが、その肉体で物を言う感じ。単に物を壊すだけのシーンでも、その挙動に感情が滲み出てくる。言うなれば肉体言語ね。
米ソ対立の構図があり、それあってのキャラクターだから、何ら深みがあるわけではないのだけれど、その二人がバディものやることで、まったくのゼロのところから何がしかの感情が生まれてくる、という感覚は楽しめる。一説によると、これこそがガイ・リッチーとマシュー・ヴォーンの馴れ初めを模しているということだが、その真偽はいかに……?
後半はおなじみ画面分割やら時系列の入れ替えも飛び出し、毎度毎度のガイ・リッチーなのだけれど、今回はそれが似つかわしい素材でありましたね。小遣い稼ぎみたいな役で出てるヒュー・グラントはさておき、悪役のエリザベス・デビッキ、この人は身長が190センチあるそうだが、今作ではその馬鹿デカさが強烈に際立ち、ケバいメイクも合わせて真性の怪物のようであった。まるでフランケンシュタインの花嫁ですよ。ガイ・リッチーって、やっぱり女嫌いなんだなあ……。
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