”負けたのはゲロったせい?”『ピッチ・パーフェクト』
アナ・ケンドリック主演作!
音楽好きでDJを目指すベッカだが、教師である父の薦めで大学に入ることに。作曲の傍ら、昨年にコンテストで大失態をやらかした女子アカペラ部に入部する。保守的な体質の上にメンバーも寄せ集めなダメチームだったが……。
続編がアメリカ公開されたばかりで、大ヒットして興収も『マッドマックス』に勝ってしまったそう。この第一作の全米公開は……三年前! 遅えよ!
大学に入学したアナケン、斜に構えて孤独を託つ女……。多分、高校ぐらいか、ちょっと周囲から浮いてしまったのをきっかけに、自分の趣味にこもり、一歩離れたスタンスを築いてしまってそこから離れられない感じですね。だって、それが居心地いいし楽なんだからな。
とは言え、交流したい気持ちがないわけじゃないし、自分の夢である曲作りのためには必須項目でもある。作曲やアレンジをしても、歌ったり演奏したりする人がいなかったらしようがないからな。大学のサークルは、そういう目標を試しに実践するのに最適の場所でもある。
そこに、前回のコンテストで女性チームとして初の決勝進出という大躍進を果たすも、その決勝の大舞台でゲロって惨敗したアカペラ部が浮上してくる。ゲロのインパクトが強烈なので、当のゲロった当人やチームメイトがそれをズバリ敗因としてしまっているのだが、実は「伝統的」な時代遅れの曲とパフォーマンスが足を引っ張っている。
新年度はゲロの悪評のせいで新入生が集まらず、「伝統的」な金髪白人を揃えることなどとても無理。アナケンやレベル・ウィルソン、アジア系やアフリカ系の学生も集めてのオーディションに。
2012年頃に通ってたジムで、有線で流れてたのが当時の全米ヒットチャートだったのだが、その頃の曲がガンガン流れましたね。それが全部アカペラで、まあ当然映画であって生で聴いてるわけじゃないから100%臨場感を楽しめているわけではないのだが、オープニングのロゴからアカペラにしてるこだわりは素晴らしい。さらに同じ会社の名作『ブレックファスト・クラブ』を引き合いに出すこの抜け目なさ。
『チアーズ』的なガールズスポ根、チームプレイものでもあり、大学になじめない主人公や、癖のあるメンバーがまとまっていく過程を描く。アナケンは若干きつめのメイクで、生硬なキャラを好演。ちょっと硬いというか、融通の効かないキャラを演じることが多い人だがばっちりハマりましたね。そしてレベル・ウィルソンも最高。
コンテストの準決勝までのボロボロっぷりを解消するのがちょっと遅く、よくそこまで勝てたな、というのが御都合主義的になってるあたりは少々もったいない。決勝も盛り上がるが、一番嫌な奴を成敗せずに終わるのもちょっと物足りないところ。とは言え充分面白いし、これから公開控えてる続編にも期待したい。
終わった後で『ブレックファスト・クラブ』も見直してしまった。いやはや、このアナケンのキャラならば確かに号泣するだろう、素晴らしい映画ですよ。でもやっぱりオレたちは『ヘザース』!
ピッチ・パーフェクト-オリジナル・サウンドトラック(完全盤)
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