"それでも男はパンツを脱ぐ"『アンダー・ザ・スキン 種の捕食』


 スカーレット・ヨハンソン主演作!


 スコットランドの街中で、男に声をかける謎の美女。連れ去られた男は、どこへともなく消えていく。一見、感情も何もなく見える女の正体は? 女を助けるバイクの男たちは何者なのか? 


 スカヨハさんが初のフルヌードになっている、というのが話題ですが、中身はどうも宇宙人侵略ものらしい?というのがわずかな予備知識。ははあ、『スピーシーズ』みたいなエロエロ宇宙人なのかしらね、と思って観に行きました。
 冒頭は、謎の男が担ぎ込んだ女の死体から、全裸のスカヨハさんが服を脱がして自ら着込んでいるシーン。なぜか背景も地面も真っ白な謎空間。服を着終わったスカヨハさんは、死体にとまったアリに目をやる……。


 その後、お仕事を開始するスカヨハさん。トラックを運転して道に迷ったふりをして男を誘い、車に乗せて……。ほとんどセリフのない映画なのだが、ここではさすがにちょっとしゃべる。
 「どういけばいいの?」「ハンサムね」「この先に住んでるの」……もうたったこれだけで男はヒャッフー!となって、すでにビンビンなわけですよ。コミニュケーションもクソもないですが、スカヨハさんにしかできない、超手抜きの口説きのテクニック。そのまま廃屋に連れ込みまして、そこはオープニングと対照的な真っ黒な空間になっている。服を脱ぎながら奥へと歩いていくスカヨハ。男もそれを追いかけながら服を脱ぎ……って、超怪しいだろ、この空間! そんなところでこんな無防備な姿を晒していいのか……という観客の疑問も虚しく、ついにパンツを脱いでしまう男……! その直後、男は沼のようになった床下へと沈んでいくのであった……。
 沈んだ男は、どうやら皮を剥がれて、中身の肉やら内臓やらは処理されてどこかへ運ばれている模様。それがどこへ行くかは謎である。
 そしてまた、服を着て他の男を探しに行くスカヨハ……この調子でこれを何度も繰り返し、毎回男はパンツを脱いではどこへともなく引き摺り込まれてしまうのであった……。
 男が服を着たり脱いだりするシーンって、ほんとにさまにならないなあ、と毎回思いますね。ましてパンツを脱ぐ姿の無防備さと来たらどうだ。あからさまに怪しいにも関わらず、スカヨハを前にすると、全ての男はパンツを脱ぐしかなくなるのだという、悲哀さえ感じる現実……!


 スカヨハさん他、冒頭に出てくるバイクの男など複数で構成され、男を誘って連れてくる役や、証拠を消して回る役など役割分担が決まっている様子。捕まった男の皮はカムフラージュに利用され、人体の中身は食料かエネルギーかに活用されている……らしい。
 スカヨハさんは、ほとんど定番の誘い文句以外は会話もなく、ほぼ自我というものがない様子。冒頭のアリが隠喩になっているんでしょうが、おそらく働きアリ的なコマであり、上からの指令に従ってのみ行動している。
 後半はそのスカヨハさんに自我らしきものが芽生え、仕事を放っておいてスコットランドの田舎を一人旅する姿が描かれる。彷徨うばかりでどこへ行くあてもなく、行きずりの男に拾われて彼の家へ……そこでもまたパンツを脱ぐ男! だが、ここには食肉採集マシンはなく、ついにことに及ぶかと思われたが、単に皮をかぶっているだけのスカヨハさんには女性器がそもそもないことが示唆される。そもそも雌雄の区別さえもないのであろうか。
 生まれながらに何も持たず、ただ「皮」の持つ行動様式を単に演じて動いているのが、いつしかその女としての姿の方に引き寄せられ、人間のような行動を取るようになる。さて、自我とはなんなのか……という話とも読めるな。


 『盗まれた街』形式の侵略SFのような世界設定だが、人類側の視点がなく、末端の尖兵の一人の視点で描かれる。働きアリには自我もなく性別もなく、生まれながらに与えられた命令でのみ動いている。サイレント映画ぎりぎりのところまでセリフをカットし、音楽も何か効果音然としたものだけ。侵略者の説明も何もなく、それ以前もこれからもまったく描かれない。ただ、難解なようでいて、描いているものはシンプルの極みではないかと思う。


 どうにも面白くはないのだが、ちょっと珍しいものを観た感覚はあり、そういう意味では損をしたとは感じなかった。家でパンツを脱ぐ男のモノマネしながらストーリーを説明してると、やたらと面白いしな!

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