”来たれ、天の龍”『イントゥ・ザ・ストーム』
竜巻体感ムービー!
シルバートンの街を襲い、四人の高校生を巻き込んだ巨大な竜巻。だが、それはまだ事件の予兆に過ぎなかった。空前絶後のさらなる竜巻が連鎖的に発生し、未曾有の大災害に街を飲み込んで行く。生き残る事はできるのか?
せっかくの体感ムービーだが、地元では3D版もなし。4DX版はかなりの迫力だったらしいが、早く関西にも出来ないかなあ。大和高田あたりどうだろうか。
予告を見たら潔いくらいに人間が関係ない、『ネイチャー』などの大自然もののフィクション版のようだったのだが、一応主役がいてドラマもある話になっている。そりゃそうだ、体感する人間が出てこないと、どんな映像でもしまいにはだれてしまうわね。
嵐や竜巻に近づいて特ダネドキュメンタリー映像を取るチーム、その素人版でyoutubeに映像をアップして名声を得ようとする二人組、そして父子家庭の親子がメイン。進んで竜巻に突っ込んで行く人たちと、逃げたいんだけど息子が閉じ込められて助けに行くお父さんが出会い、協力して嵐に立ち向かう。お話なんだからすんなり避難しちゃうと盛り上がらないし、かと言って竜巻に近づく人ばかりだと感情移入しづらいので、その折衷のような形に。
逃げたい! いや竜巻に近づきたい!という、どっちの心理にも寄り添える体裁になっているのだが、登場人物にも葛藤があり、バイトのカメラマンは怖くなって逃げたがるものの、監督と仲間に説得されて(ギャラのため)竜巻に立ち向かう決意を固める……。しかし、うっかりその気になりすぎて、燃える竜巻に巻き込まれて天高く飛ばされるあたりは爆笑してしまったよ。
ホラー映画の惨殺シーンなんかと同じく、人体がまるでゴミのように軽く扱われる様にはなんとも言えないおかしみがあり、建造物が紙細工のように破壊されるシーンは怪獣映画的なカタルシスがある。竜巻にはキャラクターがないので、恨む云々で湿っぽくなることもないが、まあそこを薄味と捉えるかどうかは好みが分かれるところですね。
局地的に複数発生した竜巻が衝突し、『ドラえもん』のフー子のエピソードをちょっと想起させるわけだが、あれは台風同士が互いを消しあったのに対し、今作では合体して巨大竜巻になるという最悪の展開。身近なところのものが飛ばされる小さな展開からリアリティを積み上げ、段々とスケールの大きい映像へとつなげていくあたりも自然で、冗談のような風の柱がそびえ立つあたりでも、轟々と鳴り響く素晴らしい音響効果もあいまって大した迫力でございました。
風に飛ばされて浮き上がる人のシーンは、おそらく『ゼロ・グラビティ』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20131224/1387885093)の無重力と近い撮影技術が駆使されているのではないかな。
カトリーナやサンディの話も絡めて、今やどこに竜巻が発生してもおかしくないという問題意識も盛り込み、復興に力を注ぐ人たちにもエールを送る、まずまず行き届いた作りもいいですね。
しかしドキュメンタリー撮ろうとしてたおっさんが自ら責任を取るあたりはいいとして、youtube野郎どものシーンは何かほっこりさせるのを狙ったのであろうか?
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