”奪い合うもの”『ホビット 竜に奪われた王国』


 シリーズ二作目!


 旅の仲間として認められたホビットのビルボは、ガンダルフドワーフ達と共に、一路、はなれ山を目指す。オークや毒蜘蛛の襲撃をかわし、闇の森のエルフと遭遇した一行は捕らえられてしまうが、ビルボの機転と指輪の力によって脱出を果たした。だが、行く手には想像を超えた危機が待ち受けていた……!


 遅れに遅れた日本公開ですが、やっとこさ始まりました。今回もHFR3Dで鑑賞。


 前日譚であるにもかかわらず、これでもかと『LOTR』三部作とのつながりを強調していた一作目(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20121220/1355930271)に対し、今回はもう説明不要とばかりに飛ばしまくり、やりたいことを詰め込んだ感あり。
 さすがにつなぎ感覚は否めず、次の盛り上がりのための伏線張りが中心で、これはこうなるのかな、今後はこうなっていくのかな、と気になる部分は色々とあったのだが、ま、次をお楽しみに! また来年! と相成りました。まあわかっていた話ですがね……。


 一作目は存在を疑問視されていたビルボが、旅の仲間として認められるまでを描き、ああっ、『抱きしめたい』よホビット!となってしまうあたりで、鮮やかに一段落つけた感覚があったので、今回もクライマックスは絵的には大変盛り上がっているものの、決着はまた改めて!となったあたりが、やはり少々もの足りず。


 しかしまあ、相変わらず殺人マシーンのレゴラスさん復活やら、蜘蛛パニック、熊パニック、川下りにドラゴン覚醒と、まあ見せ場はてんこ盛りなんで飽きません。ハイフレームレートでぐねぐねと動く画面がまたゴリゴリと効果を上げていて、水も炎も処理がすげえわ。


 今回は「指輪」関係は割とおとなしめだが、代わりにキーアイテムのアーケン石が危険さを発揮していて、追いかけるトーリンさんの目がやばい感じが怖いですね。『ウルフ・オブ・ウォールストリート』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20140222/1393254709)を見るまでもなく、欲望に取り憑かれることの恐ろしさはこういう古典で表現されているんですよ……。お金使いもしないのに、風呂の湯か布団のように金貨に埋れているスマウグさんは、まさにそんな欲の象徴ですな。


 別行動のガンダルフは、名前を呼んではいけないあの人と遭遇し、こちらもまた次回に続く……ということで、続くが多いな! 何とか次は年末あたりに公開してもらえんものかね?

ホビットの冒険〈上〉 (岩波少年文庫)

ホビットの冒険〈上〉 (岩波少年文庫)

ホビットの冒険〈下〉 (岩波少年文庫)

ホビットの冒険〈下〉 (岩波少年文庫)