”マイ・ブラザー"『マイティ・ソー ダークワールド』
『ソー』シリーズ第二作!
ロンドンで発生した謎の重力異常を調査しにきたジェーン。それは、かつて封印された「エーテル」……世界を闇に閉ざそうと目論んだダーク・エルフたちの力によるものであった。偶然それを取り込んでしまったジェーンを救うため、ソーは彼女をアスガルドへと連れ込む。しかし、かつてアスガルドの軍に敗れたダーク・エルフの長マレキスは、エーテルを狙って急襲をかける……!
同じ『アベンジャーズ』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120819/1345351121)を挟んでも、まあ色々なアプローチがあるもので、「あの事件を経てのトニー・スタークの物語に決着をつける!と力み返っていた『アイアンマン3』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130502/1367490315)とも全然違って、ひたすらに軽い。良くも悪くも続編らしい軽さ。
ケネス・ブラナーがシェイクスピア役者らしく積み重ねたなけなしの深みも綺麗に消し飛び、まあまあ立派な人間に成長して逆に個性のなくなってきたソーさんが、展開の早い物語の中を駆けずり回る。
シリーズが長く続けば大人の事情も絡むし、次回作、そのまた次回作があるのがわかってるからこそ、次の作品にはもう出なくていいよ、という人も出てくるわけですな。そんなこんなでどうも契約が切れたらしく、円満にお役御免を伝えられる人が一人、また一人……。
日本の誇る名優浅野忠信さんもその一人で、序盤から早速、「ここが俺の居場所だ」と邦画界への復帰を表明。ソーさんも全然引き止める様子もなく笑顔で「(契約満了)お疲れさま!」とにこやかに送り出す辺りがナイス過ぎる。まあ前作(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110711/1310294131)、『バトルシップ』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120416/1334576202)、『47RONIN』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20131223/1387803113)と、バラエティ豊かな役を演じたが、一番ヒットしたシリーズで背景みたいなキャラであったのは惜しかった。でも、タダノビーの活躍はきっとハリウッドでも好事家に注目されたのではと思います。
ナタポーさんは相変わらずヒロインしてるし、ダーシーは輪をかけてうるさいし、ステラン・スカルスガルドは『アベンジャーズ』を引きずってギャグ要員だし……と、どのキャラもポジションをわきまえ、ほどほどに見せ場があるようにきちっと割り振られている。アンソニー・ホプキンスさんは、父の権威が吹っ飛びそうなくらいにやる気がなかったが……。
メインの悪役が全然キャラが立ってなくて、世界を闇で覆うとか抽象的なことを垂れるばかりでいまいち存在感がないのだが、そんなところも含めて、なんとなく『アベンジャーズ』の縮小版のようになっている。それこそが続編らしい、説明抜きでテンポのいいフォーマットの一つの在り様なのかもしれないね。
そんな中でロキさんはもはや名調子の域で、もう悪の側に振り切ったはずなのに、まだ情や迷いが残っているあたりを、前二作とはまた位相のずれたバランスで演じてるところがさすがですね。
薄味でところどころ物足りないところもあれど、量と種類はしっかり盛っているので基本的には飽きさせないし楽しい。気張らない一エピソードとして楽しむのがいいですね。
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