”老人VS老人?”『REDリターンズ』


 老人スパイ映画に続編。


 今度こそ本当に引退し、新たな恋人サラと共に平凡な生活を楽しんでいたフランク。だが、買い物にきたスーパーに元相棒マーヴィンが現れ、彼を新たな危機に誘う……。「俺たちは狙われている」と言われるも、すげなく断ったフランク。だが、店を出た瞬間、マーヴィンの乗った車が爆破された……。そしてフランクにも敵の魔手が伸びる。


 前作(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110216/1297826837)はまあ何とも緩い映画で、キャストを眺める楽しさ以外はちーとも評価していなかったのだけれども、今作もまあそういう内容でありました。


 謎の陰謀が進行し、マルコビッチが爆弾で吹っ飛ばされ、今度こそ本当にリタイアしようとしていたブルース・ウィリスがとっ捕まりながらも脱出、葬式まで出しながらもちろんマルコビッチは生きてて……というあたりまでは非常にテンポが良かったのだよね。
 ビョンホンがお約束通り脱いだあたりでテンションは最高潮、これは面白くなるかなと思ったのだが、急速にテンポが悪くなる。メアリー・ルイーズ・パーカーへのスパイ指導が始まり、そのたどたどしい所作に対していちいちベテランの皆さんの論評を交えながら進めるのが最大の原因なのだが、まあ一動作ごとにくっちゃべってたらそりゃあかったるくもなるわ。
 アンソニー・ホプキンスデビッド・シューリスが敵キャラとして登場するあたり、完全に老人vs老人の対決になってしまい、いくら舞台や場面を展開しても、お話自体がお年寄りに合わせてもっさりしたものになっている感が否めない。ならばとばかりに大量の弾丸を撒き散らす若手代表のイ・ビョンホンだが、これもまるで幼児のたわ言のようでじい様方を立てるために、わざと頭の悪いキャラにされているのだな。わめいているばかりでまったく面白くないし。


 オチの付け方もバカ過ぎたし、さすがにもうちょっと状況設定をシビアにしていかないと、ボケ老人同士の単なるレベルの低い争いになってしまうではないか。かっこいい担当がヘレン・ミレンで、お笑い担当がマルコビッチという風にあまりに役割分担がはっきりし過ぎちゃってるのも、まあシリーズ物の弊害ですわね。前作にあったなけなしの若手との対比も消え去り、見せ場と言えばスローモーションなんだからちょっとうんざりしてしまった。緩さや鷹揚さ、言うなれば老人力を見せたいならば、もう少しそれに対するアンチテーゼがないと一向に盛り上がらないではないか。


 いやはや、それにしても眠かった……。

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