”大津波はいつ起きた?”『パニック・マーケット3D』


パニック・マーケット3D Blu-ray

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 サメがスーパーを襲う!


 ライフセーバー仲間であり、婚約者の兄でもあるローリーが、目の前でサメに食い殺された。婚約パーティで飲み過ぎたジョシュの替わりに海に出た結果に、ジョシュは自責の念に駆られ、いつしか婚約者のティナとも距離ができてしまう。一年後、無気力にスーパーでバイトするジョシュの前に、シンガポールに行っていたティナが現れる。そこへ、スーパー強盗と地震、大津波、そしてサメが一度に襲ってきた……!


 オーストラリア産のパニック映画。津波がビーチを襲い、海沿いのスーパーに海水と共にサメが雪崩れ込む……というお話。しかしながら、津波シーンと廃墟描写が本邦の世論を鑑みてカットの憂き目にあったため、映像的にもストーリー的にも完全にぶつ切りになっている。
 いやはや、このぶった切りっぷりの編集が酷すぎで、スーパーの強盗シーンの真っ最中に津波が来るわけだが、割と細かい編集をしてたからか、津波の前後のシーンまでばっさりと切られている。強盗の最中に一人撃たれるシーンがあったらしいのだが、カットされてるのでいきなり死んでいるのだな。その後で「あいつは友達だった……!」みたいな台詞まであるというのに、何のことやらわからない。
 しかし、やっぱり映画の編集というのは、どんなシーンでもそれなりに気を使ってやっているのだなあ、という当たり前のことを再確認しましたよ。明らかにはっきりとここで手を入れたなとわかる不自然なぶつ切りっぷりで、ガックリ来ました。ラスト直前にももう一回あるしな!


 それを抜きにしても、まあまあという出来であったな……。
 スーパーの地上と地下に分かれて、それぞれ別のサメとの攻防が描かれるが、低予算なのでそれ以上舞台は広がっていかない。登場人物の描き込みはそこそこされているわけだが、いかにもというか勧善懲悪的というか、ダメな人は食い殺され、三角関係の相手も理由をつけられて死なされるようなありがちな展開に。覆面強盗の顔を見せないあたりは、もうちょっとトリッキーに使えば面白かったと思うが、もう一歩というところだったな……。って言うか、相棒には顔バレしてるんだから、なんでそんなことしてるのか、いまいちよくわからなかったんだが……。
 惨殺シーンはまあまあ良かったが、お色気シーンはほぼなしで、親子愛やら友人を死なせた葛藤やら何やら絡めるから、結構辛気くさい。そもそもサメ以前に大津波がきて大災害だしな。それなら、冒頭でサメにロケットの如く水面から打ち上げられる兄ちゃんはなんだったんだ……。
 そもそも、友人を食ったサメと最後に戦うサメは全然別のサメ(たぶん)なんだから、別に仇討ちものでもないし、逆に言うとその友人が死ぬ理由はサメじゃなくてもなんでも良かったよな……。


 シリアス寄りな設定のせいで手放しでは笑えないが、かといって真剣に見るようなものでもない、という困ったバランス。さらに災害シーンカットのせいで余計に、こういう時どんな顔をすればいいのかわからないの、という代物になっておった。うーんうーん。
 まあしかし、せっかく某劇場において関西独占公開だったのだから、こうして記録に留めておきたい。