"トライアングルに回帰せよ!"『妖魔伝 レザレクション』
夏の中華映画祭、ラスト一本!
人間を助けた罪によって、500年間も氷の下に閉じ込められていた妖怪小唯が、雀の妖魔雀児の助けによって復活する。襲い来る凍気から逃れながら、再び人間界を目指す小唯。彼女の新たな目的、それは純粋な者が自ら捧げる心臓を手に入れ、自身が人間へと変わる事であった。顔に傷を負った女・靖公主に拾われた小唯は、彼女の燃えるような力を持つ心臓に目をつけ、かつてのように、靖公主を愛する霍心将軍を惑わそうとするのだが……。
ドニー・イェン主演作『画皮』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120829/1346162024)の続編ということですが、ジョウ・シュン、ヴィッキー・チャオ、チェン・クンは続投ながら、ドニーさんは離脱。前作の500年後、氷の下に封印されていたジョウ・シュンが、妹分の鳥の妖怪ヤン・ミー(『レジェンド・オブ・トレジャー』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130717/1374051762)の怪盗女)に助けられて復活。500年も経ってるのだから、当然、他のキャラは死に絶えていて、ヴィッキー・チャオとチェン・クンは別のキャラである。ジョウ・シュンが顔見てびっくりしたりもしないので、完全な別人なのであろう。ただ、こうして出会ったということは何かの縁ゆえでもあり、それは生まれ変わりを示唆しているのかもしれないですね。じゃあ、ドニーさんは……ということになりますが、きっと彼もまたどこか別のところで生まれ変わって暴れているんでしょう。時代的には『セブンソード』あたりかな?(ごめん、適当に言ってます)
さて、前作は六角関係ぐらいの恋愛話になっていて、妙にややこしかった。が、今回はカメレオン妖怪も出番なし。ヤン・ミーが前作の彼のポジションに収まっているのだが、これが退魔師との絡みこそあれ、ジョウ・シュンに対しては完全に妹分のスタンスなので、メインストーリーから一歩引いた位置に収まっている。さらにオレ様パワーで主役を奪い取ろうとするドニーさんは不在ということで、恋愛するのはメインの三人だけ。やったあ、三角関係にちゃんと収まったよ。前作もこれが当初のコンセプトではなかったのかなあ、というぐらいにすっきりまとまった。
しかしまあ、敵の大軍を相手にたった一人で立ち向かうのがチェン・クンであるあたり、やはりパワーダウンは否めないなあ、と思ってたら、案の定負けた……。ドニーさんならば一人で撃退して、話をややこしくしてたと思うがな!
フラグをへし折りかねない人がいないので、ストーリーもスムーズに進行。前作ではジョウ・シュンが妖魔としての正体を隠して、ヴィッキー・チャオにその濡れ衣を着せるという展開であったが、今作では今の「皮」、つまり人間としての姿を丸ごと、顔に怪我したヴィッキー・チャオと取り替えるという、まるで『フェイス・オフ』のような展開になる。当然、やってる役者が演技を変えるわけで、ストーリー的にも、演出的にも一歩進めた感あり。
さらに、前作で人間の愛を見せつけられ、その事によって「人間になる」という願いに強く執着するようになった主人公が、それを再び見せつけられた時にいかなる行動を取るか、自らの願いをかなえた時にどうするか、ということにまで踏み込んだ、続編らしい展開とラストが待っている。
チェン・クンの盲目アクションも、「皮(見た目)など見なければ同じだ!」というテーマと合致していい感じ。ドニーさんはいなくなったけど、『画皮』シリーズとしては、これが完成型ですな。オチも、一部強引なところをのぞけば(梶原一騎の『剣闘士ローマの星』を思い出してしまった……)、綺麗につけた。
そして、一作目で倉木麻衣に差し替えられてしまった主題歌は、今回はオリジナル! アレンジ違いのパート2になって登場。まあ同じ曲なんだが、やっぱりこっちを聴きたかったよ。
あまり期待してなかったが、面白く見られて良かった。あとはあのCGのクマさえ何とかしてくれたら良かったのになあ。あれは『カムイ外伝』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20090921/1253552884)のサメに匹敵するよ……。
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