"ぜんせかいのようじょはわたしのものだ〜、ふはははは"『ポゼッション』


 サム・ライミ製作。


 妻と離婚したバスケットボールのコーチであるクライドの元には、週末ごとに二人の娘がやってくる。新居を構え、ガレージセールに立ち寄ったところで、次女のエミリーは不思議な木箱に興味を示した。その夜から、エミリーは木箱に執着し、肌身離さず持ち歩くようになる。ある夜、クライドはエミリーが箱と話しているのを目撃する。そして、彼女が少しずつ変わって行くのを目の当たりにする……!


 ゴーストハウス作品が、先の『死霊のはらわた』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130509/1368018793)に続いて登場。何でもデジタル、CGで簡単に作れてしまう時代において、ホラー映画は見せ過ぎの誘惑に抗えるか……ってなことをつらつらと考えてしまうのだが、この映画もオープニングから結構見せ過ぎ案件でありました。謎の箱を壊そうとした婆さんが宙を舞ってボコボコの血みどろに! 箱の中身がまったく見えないので、その正体はいったい?みたいな興味はわくが、一方で「ああ、こういうポルターガイスト的な暴力を振るうのね」という手の内の一つがわかってしまう。


 序盤から「お、いいな」と思ったところと「なんだこりゃ」と思ったところが混在し、なかなか評価が定まらなんだが、絵はいいところが多かったな。特に子供絡みのところは、取り憑かれてしまう子役の表情が抜群に良くて、メイクの変顔だけでなく、不安げな顔から不意に怒りを爆発させるシーンなど、非常にねっちりと撮っていていい。おかげで、この娘ちゃんが一人でぽつんと佇んでいるだけで、何か不安をかきたてられてしまう。しかしついでに言うと、思春期の少女の寝姿や入浴シーン、パンチラなどを連発されると、それだけで、非常に居心地の悪い気持ちになるんだよな。程度にもよるが児童ポルノを見せられてるようなね……。さらに嗜虐要素もありということで、結構気持ち悪いよ。
 ところどころ印象的なカットもあり、ユダヤ教の街で雑踏が引いていくシーンなどおっと思わせる演出も多々あり。しかしな……結局、そこまで思わせ振りにやっておきながら、助けに来てくれるのは頼りなさそうなあんちゃん一人だったりと、ハッタリ感覚に溢れた映像にストーリーが付いていかずすべってるように感じられてならない。生々しいショックシーンがあっても、そのあとはすぐに綺麗になってたり、怪我してもどこも痛そうでなかったり、何か軽い。
 シーンのつなぎも良くなくて、ショックシーンからガーンガーンと効果音がなりつつフェイドアウト……というまったく同じ演出を多用しすぎてるのも、ひっかかったところであった。


 で、終盤からは見せ過ぎ問題がボディブローのように効いてきて、肝心の悪魔のアクションがマンネリ化して、もう飽きが来ているのであった。うん、おそらく悪魔界にも、色々とヒエラルキーやランク付けがあり、パズズはこのあたり、ルシフ様はここらへん、みたいな格付けがされてると思うのだが、今回の奴は、


「ああ、あいつね……スマートさと独創性がないよね……まあ二流でしょ。ロリコンなのはみんな同じだけど」


みたいなしょぼい位置づけなのではないかなあ。


 主演の人がハビエル・バルデム……と思ったら、全然違ったわ。キャストはみんな良かったが、見てて飽きの来る圧倒的な凡作でした。

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