"パンツじゃないから恥ずかしくないもん"『ハッシュパピー バスタブ島の少女』


 アカデミー作品、監督、主演女優賞にノミネート!


 バスタブ島で父とたくさんの動物に囲まれて暮らす少女ハッシュパピー。だが、バスタブは開発によって水の底に沈む危機にさらされていた。留まる父とハッシュパピーの眼前で、島は水の底に沈んだ……。病を抱えた父と共に、ハッシュパピーはそこで暮らし続けるが、やがて島は政府によって居住禁止区域に指定されて……。


 一応アカデミー賞絡みの映画は結構頑張って見てるよなあ、最近。まあ『アルゴ』は観ないけどね。そんなわけで、最後の一本となったこれも観に行ってきました。


 冒頭から、これでオスカーノミニーとなった幼女たんが、タンクトップにパンツ姿でジメジメと湿気った土地を、動物に囲まれて走り回ります。これはやばい! 幼女たん萌え萌え狙いの臭いがプンプンするぜ! さらにそこに追い打ちをかけるようにお父さんが「ズボンをはくんだ!」と叫ぶことで、逆説的にパンツスタイルのやんちゃ感、背徳感を強調するという荒技に! ついでに島には女の子ばかりで、少年がいないんだな。つるんで出かけるシーンも幼女軍団!


 遥か向こうの工業地帯と、そこで作られたダムのせいで、この地域はまもなく水没する……つうことだが、POVっぽい手持ちプラス幼女たんのモノローグによって、非常にもやもやとぼやけた描写がされていて、設定の細部はあまり強調されない。
 毎日、鶏を一羽潰しているように見えるけどその鶏はどこから仕入れてくるの、とか、お祭りやってるけどそれは何のためにやってるの、とか、その辺りは幼女目線を通しているのか、深くは描かれず。


 近所中赤貧生活しているけれど、それはそれでハッピーなんだ、ここが故郷なんだ、と父親なんかは考えているようで、水が押し寄せてきてもその場に止まり続ける。ダムをぶち壊せば元に戻るんじゃね?と作戦を決行するが、水は引いたもののやっぱり土地は泥に浸かってしまっている。
 ダムを築いた工業地帯も難民キャンプのような場所も、別に悪として描かれるわけではない。「島」と「都会」は相入れないものとして表現されているが、単に状況に過ぎない。


 滅びゆく地と共に滅びる、かつて氷の中に閉ざされた獣のように気高く……という話をしたいのかもしれんが、いやいや、貧困層の住む土地が開発で潰されるのを、自然現象のように描いたらだめでしょ……。だからと言って文明批判をしたいわけではないんだな。なぜなら、作り手も所詮は文明側の人間でしかないのだから、そこまで無邪気にはなれない程度には自覚的である。
 結局、どこもかしこも踏み込むことを避けて逃げまくり、全てがピントのぼけたような幼女たん目線になっていくわけだ。海に泳ぎだして、謎の船に拾われ、謎のバーにたどりついて……って、こりゃいったい何なんだ……。全てが成長ごっこのための装置でしかなく、寓話としてもいい加減すぎる。しかし、その中で、それでも強く生きるんだ……!っていう、幼女たんの姿に絶頂に達しちゃう人種がやっぱりいるんだなあ……。都会風コスプレもしてみたり、泥に塗れたり泳いで濡れたり、しつこくパンツ姿で大活躍。ああっ、もう堪忍してください、後生ですから……!


 まあこれだったらベン・アフレックを監督賞にノミネートしてあげても良かったんじゃないの? と思いました。嫌いだけど、きっとこれよりはましだと思うよ。

[ハッシュパピー] Hush Puppies カジュアル M-120FX 11(クロ/25.5)

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(ハッシュパピー)Hush Puppies 紳士パジャマ上下セット HP4202 59 ブルー L

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