"女には甘い男であった"『幻影拳 マジック・カンフー』

幻影拳 ザ・マジック・カンフー [DVD]

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 ドニーマラソン継続中。


 1940年代広州。日本軍の侵攻により、テントを焼かれ興行もままならなくなったサーカス団。シェンはサーカス団復興のため、弟子たちと共に働く日々を送っていた。だが、広州に蔓延するアヘンの取引に巻き込まれ、綱渡りの名人のトンは犯罪組織に利用されてしまう。警察隊長のタンはトンを疑うのだが……。


 今作はユン・ピョウ主演作ということで、ドニーさんはゲスト出演。ユン・ピョウはサーカスの空中ブランコ乗りで、血気盛んな若者……という設定だが、あんたこの時もう三十代後半でしょ! 今でこそドニーさんも二十歳役(『かちこみ! ドラゴンタイガーゲート』)などやっていて、年齢詐称も甚だしいわけですが、この時はちゃんと年相応の役でした。と言うか、香港映画じゃ歳をごまかすなんてよくあることなんですよ。


 ドニーさんは警官役。いつもは暴力的な下っ端だけど、今回は歳の割に出世していて、部下の指揮を取っている。街で揉め事を起こすユン・ピョウに目をつけて、こいつ怪しいな、とネチネチ絡む。が、同じサーカス団の女には全然態度が変わるぜ! ひたすら大人げない若者ユン・ピョウはまたそれが面白くなくて対抗意識を燃やすのだが、ドニーさんはこいつうぜえな、という態度を隠しもせず、女には優しい!
 中盤には、騙されて警察署に潜入しちゃったユン・ピョウとドニーさんが、誤解のクライマックスでついに対決する。映像がスタンダードにトリミングされてしまってるところも合わせて、そこまでのどのアクションシーンも構図がイマイチで、やってること自体は面白いのに迫力に欠けたのだが、この二人が顔合わせすると、やはりちょっと空気が変わりますよ。追う者と追われる者という立場なので、ガチ対決には発展しませんが、階段での蹴り合いがナイス。


 主人公ユン・ピョウがサーカス団なので、アクションもサーカスの軽業を取り入れたものが中心。ラスボスとなるのが『邪神拳』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20130226/1361875749 )に続いてドニーさんとの共演となるロー・ワイコン。最初はグラサンかけてるからわからんかったわい。麻薬組織のボスとしてえらそうに座ってるだけの人かと思ったら鬼のように強い、という役で、今回もユン・ピョウを怒濤の蹴り技で圧倒! これは敵わん、ここはドニーさんと和解して二対一で戦うしかないな……と思ったら、ユン・ピョウが工場に張ってあったロープを活用し、サーカス技で自力で勝ってしまうのであった。


 無事にサーカス団が再興されるラスト、せっかく女と恋愛話やってたはずのドニーさんは全然登場せず、やっぱりゲストはゲストだったんですな。無念……。

かちこみ! ドラゴン・タイガー・ゲート Blu-ray

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ユン・ピョウ in ドラ息子カンフー デジタル・リマスター  [DVD]

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