"僕は君を信じたい"『火車 HELPLESS』
- 出版社/メーカー: アメイジングD.C.
- 発売日: 2013/02/06
- メディア: DVD
- クリック: 1回
- この商品を含むブログ (5件) を見る
結婚を控え、婚約者のソニョンと共に生家へと向かっていた獣医師のムンホ。だが、ソニョンはその道中で突如、姿を消した。直前にあった「自己破産の経歴があるのでクレジットカードを作れない」と告げられた電話との関係は? ムンホは従兄弟の元刑事に彼女の捜索を依頼する。だが、そこから浮かび上がったのは、自己破産したソニョンという女は、まったくの別人であると言う事実だった……!
原作読んだのは、たぶん高校生ぐらいの頃かな? 日本でも最近ドラマ化されていたが、こちらは韓国での映画化。
かなり大胆にアレンジが施されていて、捜査に当たる元刑事よりも、捨てられた夫の視点を中心に描いている。冒頭のシーンでいきなり行方不明になる当の女が出て来てしゃべっているので、逆に驚いてしまった。日本のドラマでは佐々木希が当てられていて、写真だけの登場で一言もしゃべらない。しゃべる必要がない、演技をする必要がないから起用されていたと読めるが、今回は普通に演技している女優だ。
夫が獣医という設定を出会いからつぶさに見せ、元刑事は彼の従兄弟であるなど、今作は当事者としての視点が強く、原作の一歩離れた視点から驚きを持って眺めるような目線ではない。もちろんそれによって「家族」の背負う借金や業として身近な問題に捉えられる効能はあるし、アレンジとしては悪くない。原作の面白さが損なわれているわけではない。だが、その結果としてラスト等は改変されているし、あの一歩距離を置いたスタイルの独自性は失われ、よくあるサスペンスの様式に落ちついてしまった感あり。韓国映画のウエットなスタイルに回収されてしまった印象。
その分、死体解体シーンを始めとしてグロ映像も拝めるし、原作読んで話を知ってる人にも、一つのバリエーションとして大いに楽しめますよ。勝手なイメージではあるが、韓国の方が家族の中でも上下関係が厳しかったり、より殺伐とした状況を惹起するものが多そうで、このアレンジがより問題意識を提起出来る正解なのかも知れない。役者陣も好演で全体のクオリティは高いし、レンタルで手に取れるならオススメしたい一本。
- 作者: 宮部みゆき
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 1998/01/30
- メディア: 文庫
- 購入: 47人 クリック: 454回
- この商品を含むブログ (457件) を見る