『新機動戦記ガンダムW フローズン・ティアドロップ 7 寂寥の狂詩曲(上)』隅沢克之
新機動戦記ガンダムW フローズン・ティアドロップ (7) 寂寥の狂詩曲 (上) (カドカワコミックス・エース)
- 作者: 隅沢克之,矢立肇,富野由悠季
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2013/01/24
- メディア: コミック
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かつてコミックで読み切り短編として描かれた「プリベンター5」が、お話も全面的にリライトされて小説化。いや、正直、あのコミックのあれはクオリティ低かったよな……。話もすっげえ矛盾あったし、ファンサービスにしても、正史のラストに当たる位置づけの作品がこれかよ、というのは当時にも思ったことで、まあ黒歴史的に葬ればいいかと感じておった。
しかし、それが今になってまさかの日の目を見る事態ということで、驚いたと言うよりも、わざわざこいつまで掬い上げた隅沢氏の律儀さに関心したわ。この『フローズン・ティアドロップ』という小説自体、アニメ本編で何気なく挿入されたであろうネタにまで後付けながら肉付け、意味付けしていくという作業の繰り返しで書かれているのだから、当然の帰結であろうが。
引退を考えるサリィに、あんたまだ二十歳超えたとこやん!と突っ込んだり色々と忙しいが、悪役ディズヌフの怪人的活躍のおかげで随分と面白くなった。リリーナ様が血塗れで悶絶とは、本編でもありえなかった事態で、そりゃあ冷凍措置やら続編も必要になるだろう、という緊迫感を煽る。これでやっとお話が冒頭につながったよ。キャンサーVSビルゴで締めというのも面白い。ただまあ、ナノマシン云々はさすがに後付けにしてもこの時代には合わなさ過ぎ、という印象であった。火星に行ってから初めて登場なら充分納得なのだが。この技術があったら、多分、ドーリアン外務次官とか普通に助かってそうだよね。
さて、今回はこちらの方が面白く、もったいをつけるばかりの現代編がやや低調であった。せっかく過去編と現在編がつながったんだから、もう少しドカンと話を進めても良かったんではないか。まあそこらへんは後編に期待というところか。
『敗者たちの栄光』もやっと四巻目。そして、ついに第10話の自爆まで来た! やっぱりテレビ版1〜10話は密度濃かったな……。その後のお詫び行脚の話をリリーナとの再会でやってしまった感もあるので、次はすぐゼクスとの決闘に進むか。あれは本編でも屈指の名勝負であったし、早く読みたいところ。
新機動戦記ガンダムW Endless Waltz 敗者たちの栄光 (4) (カドカワコミックス・エース)
- 作者: 小笠原智史,矢立肇,富野由悠季
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
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