"天より来たりし雷精"『ダーケスト・アワー 消滅』


 ロシアンSFパニック!


 商談のために意気揚々とモスクワに乗り込んで来た起業家のショーンとベン。だが、自作のプログラムが盗用され、門前払い同様に追い返されることに。ナイトクラブでくだを巻き、気を取り直して同じアメリカ人の女の子に声をかけていた矢先、モスクワ上空に謎の光が降り注ぐ……。触れたもの全てを炭化させてしまう、その光の正体とは?


 これは予告が面白そうだったので、結構楽しみにしていたのだよね。舞台はモスクワだけど、主人公たちはアメリカ人。土地勘がないところでモンスターに襲われる、というのが一つの肝になっているわけだ。
 予告でもインパクトが強かったところだが、今作の怪物は姿の見えない電気の塊! 実体が見えず、当然銃も通じない。小林泰三のSF小説『AΩ』にプラズマ生命体が登場したけど、あれのようなものかね?……と思ってたんだけど、実は中の人がいたのには驚いてしまった。まあ電気の塊にしては知性があるようだし、目的を持って地球に来ているわけだからね。


 主役が男二人、女二人という組み合わせで始まるのだが、まあ色んなパターンが考えられるよね。どっちがどっちとくっつくの、とか、誰かが死んでしまうの、とか。そんな中で、会社経営やってるインテリの相棒と、そんな彼にくっついてる主人公の関係性は割と良かった。実務も何もかもみんなインテリの方がやってて、主人公はオマケのようなもの。実はコンプレックスも抱いている……のだけれども、インテリの方も本当は主人公の楽観性やお気楽さに救われてる部分が多いのだよね。そんな関係を見て行くと、これはブロマンス路線もありか!と期待がふくらんだりもします。
 そのお調子者の主役の子は、太ったらジャック・ブラックになりそうな、いかにもなルックスなのも○であった。


 物語のルックは『28日後…』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120330/1333088247)の前半部そっくりで、高層階での立てこもりも同じ。放送が入るあたりも一緒だよ! まあベタっちゃあベタだが、手堅い作りでもある。ロシア人キャラにも花を持たせているあたりも良いんじゃないか。まずまず楽しめる映画でした。

ΑΩ(アルファ・オメガ)―超空想科学怪奇譚 (角川ホラー文庫)

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