"全編クマづくしなんだクマー"『子熊物語』

子熊物語 [Blu-ray]

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 ジャン・ジャック・アノー監督作。BDにて鑑賞。三回目ぐらいか?


 落盤によって母を失い、一人ぼっちになった子熊。漁師に撃たれ傷を負った雄熊に出会い、懐いてしまう。一方、雄熊の逆襲によって馬を失った漁師たちは、猟犬を呼び寄せ追跡を再開しようとしていた。雄熊に生活の知恵を教わっていた子熊だが……。


 6年がかりで実際の熊を使って撮った映画、ということで、いったい誰がそんな企画思いついたんだと正気を疑いたくなる。実際に観たら、90分少々の間に奇跡的なショットの連発! 人っ子一人いないだだっ広い山の上で、巨大なヒグマやら子熊ちゃんが期待する演技をするのを延々待ち続けているであろうクルーの姿を、想像したら笑えてくる。


 メイキング観たらやっぱり熊みたいな調教師がいて一応指導してるんだが、まあもともとそんな言うこと聞く生き物じゃないよね。で、ジャン・ジャック・アノー監督が、あの人格者然とした顔で「脚を引きずって来て、この水たまりに浸かるんだ」みたいなことを真顔で熊に言っていて、横でその調教師さんが「マジで? このおっさん、何言ってんの……」みたいな顔をしてるとこも最高!


 子熊の母熊との別れから、雄熊との出会い、猟師の登場と対決と、半分以上人間が出てこない映画なのに全然テンポを落とさずスリリングに構成している。
 猟師役はチェッキー・カリョ! 愛犬をヒグマによって失うのだが、捕まえた子熊に癒されてしまうという役所。この数年後にキス・オブ・ザ・ドラゴンを突かれて殺されるとは思えないいい人っぷり。ラストの苦しい言い訳のシーンがまたいいのだ。
 馬に乗ったチェッキー・カリョたちが山の向こうに向かう→子熊立ち上がる→チェッキー・カリョ山の向こうに消える→子熊手を振る……ここまでワンカットなのにもぎょっとなってしまった。これだと子熊が手を振ってくれるまで、チェッキー・カリョたちは手前から山の向こうまでをいったい何往復したのであろうか……。


 ブルーレイで観たら熊の毛の一本一本まで見えるようで、こないだの『ユニソル』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20121114/1352886917)に続き悶絶してしまった。まさに熊好きの熊好きによる熊好きのための映画。子熊の尻の可愛さに打ちのめされ、ヒグマの交尾シーンに卒倒。クライマックスに脈絡なく出てくるピューマも素晴らしい。子熊絶体絶命の危機!


 今後百年は余裕で通用するであろう、動物映画の最高峰。いや〜、たまらんでクマー。

薔薇の名前 The Name of the Rose [Blu-ray]

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