"俺たち金持ちソルジャーズ"『ソルジャーズ・アイランド』


ソルジャーズ・アイランド [DVD]

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 豪華キャスト映画!


 元特殊部隊のクレイグに来た奇妙な依頼。それは、レアメタル目当ての武器商人に占拠された黒海の島を奪還するため、そのための武器と資金を……スポンサーの大富豪たちに「安心安全の一日戦争体験」をさせながら届けること。金持ちたちの指導を任されたクレイグは四苦八苦しながらもなんとか真面目に訓練させ、決行当日を迎えるのだが……。


 悪徳武器商人と傭兵に島が乗っ取られた!→奪還したいけど装備も資金も足りない!→スポンサー集めのために、暇な金持ちに兵士ごっこを楽しんでもらおう!→護衛に本物の兵士が必要だ!
……ということで元軍人のスレーターが連れてこられる、という非常に回りくどい話。なるほど、スポンサーが悪徳な連中なら取り返した島をまたそいつらに乗っ取られるとかいうこともあり得そうだし、なるべく無害そうな金持ちを集めよう、ってわけでこういう発想になるのか。しかし集まったのはショーン・ビーンヴィング・レイムスジェームズ・クロムウェル……裏あるに決まってるだろ、こんな連中!


 遊び呆けてて全然体力もないので、まずは特訓から始まり、銀行屋やゲーム会社の社長には銃の持ち方から教えなければならない。かつて『スペース・カウボーイ』に混ざれなかったジェームズ・クロムウェル、今回はカウボーイ然としてて、体力はともかく銃の扱いには慣れていたりと、皆それぞれ一芸は持っていたりするあたりが面白い。そういう個性が噛み合って、だんだんとチームとして機能して行くわけだね。


 で、今まで戦友や部下のために戦ってきて(それが原因で不名誉除隊に追い込まれた)主人公スレーターが、今度はそんな「プライベート(新兵)」たちのために戦うという展開。
 クリスチャン・スレーター主演作品を劇場で観るのは、もしかして『クライム&ダイヤモンド』以来じゃないか?というぐらいにひさしぶり。この人も大スターになり損ねたなあ、と『ブロークン・アロー』とかを懐かしく思い出すのである。
 破天荒など金持ちの偽傭兵のエスコート役ということで、必然的にまとめ役の常識人、まっとうな元軍人キャラに。しかしこの人はいつからこういうキャラになったのだろう。かつてはヤング・ニコルソンとまで言われ、実生活共々狂気が売りじゃなかったのか。今やリアルでも大人になって、人間も丸くなったのかもしれないなあ。


 ただ脚本的にはもう一押しが足りなかった感が否めない。途中からほとんど別行動になってしまい、スレーターのドラマと金持ち軍団のドラマがうまく噛み合い切らずに終わってしまったので、ギャグも少々滑り気味で、シリアス成分は緊迫感が足りないという双方にとって物足りない結果となってしまった。
 とはいえ、若手からおじいちゃんまで集結した豪華キャストのキャッキャウフフ映画としてはまあまあ楽しめるし、『ウインドトーカーズ』以来の軍人スレーターとそのナイフさばきも良かったですよ。スレーターの主演作品、ビデオスルーばかりで全然チェックしてなかったけど、まだまだいけますよ。

クライム&ダイヤモンド ~スペシャル・エディション~ [DVD]

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