"さらば、スノーホワイト"『アドベンチャーランドへようこそ』

アドベンチャーランドへようこそ [DVD]

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 『宇宙人ポール』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111225/1324804894)のグレッグ・モットーラ監督作!


 大学院進学を前にヨーロッパ旅行をするはずだったジェームズ。だが、両親の財政難で資金不足に陥り、やむなく地元の寂れた遊園地でアルバイトをすることに。つまらない仕事と低賃金に腐っていた彼だが、クールな美少女エムとは気が合い、童貞喪失の期待に胸をときめかせるように……。


 ジェシー・アイゼンバーグクリステン・スチュワート主演ということで、長らく観たかった映画。Huluで鑑賞(ただし吹替)。ザ・童貞のアイゼンバーグの一夏の遊園地でのアルバイト、そこで出会ったクールな少女エマとの青春物語。昼間に観た『デンジャラス・ラン』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120909/1347193667)がつまらなかったので、ちょっとお口直しに観ようと思ったのだけれども……ここでもライアン・レイノルズが! 全然知らんかったよ。


 クリステン・スチュワートと言えば、最近は不倫騒動で『スノーホワイト』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120715/1342353043)の続編から干されたばかり。不倫相手の妻子ある監督は続投、彼女は同棲していたトワイライト野郎ことロバート・パティンソンとも別れることに。
 さて、今作のクリステン、女房持ちの修理工ライアン・レイノルズと不倫するも、バレて遊園地中の噂になり、バイトをやめて去る事に……って、現実そのままやないかい! なんだなんだ、人はかくも過去に学ばないのか!(いや、映画ですけどね) 数年前の映画ながら、現在を暗示していて恐ろしくなった。一見硬派そうなんだが、どこか欠落を抱えてて、危ない事に手を出してしまうキャラクター。うーむ、これこそが本来の彼女の姿なのかもしれないな。彼女が去った後も不倫野郎は平然と遊園地に残るあたりまで同じだ!


 アメリカの話なのだが、80年代の遊園地バイトの狭苦しい人間関係は『桐島』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120905/1346763191)なども彷彿とさせてうんざり。陰口にうわさ話、実に陰湿。そんな人間関係に翻弄され、時に踊らされ時に背を向ける優柔不断な若者としてのジェシー・アイゼンバーグがはまり役。いちいち遊園地が似合う男だな……(『ゾンビランド』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111018/1318932217))。場末の遊園地は決して楽しい場所じゃなく、そこで彼はいくつもの過ちを積み重ねてしまう。新たな友人や、エマとの出会い、ほろ苦い一夏の先にあるものは……。遊園地のオーナー夫婦はいい人だったりするが、いかにも田舎らしい閉鎖的な狭い世界であり、排他的なノリに満ちた場所なので、甘酸っぱい青春の思い出にもなっていないところが良いね。


 放逐か、あるいは自ら飛び出したと言っていいのか、クリステンはそこを去る。去って行く背中がとても孤独で……映画なら主人公が追いかけて行ってくれるけれど、現実はそうは行かないのだよね。彼女がこの騒動から立ち直り、再起する事を祈りたい。この遊園地はろくでもない場所だったが、はっきり言っちゃって『スノーホワイト』もくだらねえ映画だったよ! メルヘンごっこと偽りの楽しさ、こんなとこにいたら人間が腐るわ! 

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