"ここは本当に香港?"『スリ』
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香港の街で荒稼ぎする、四人組のスリたち。彼らそれぞれの前に、ある日、謎の美女が現れる。あっという間にめろめろになってしまう彼らだが、実は美女は一人の女だった。さらに、彼女に出会った直後、謎の男たちに大けがを負わされてしまう四人。女の正体はいったい? さらにスリの仕事までが妨害され始め……。
軽やかな音楽に乗って撮られた香港の街並……こ、これが香港か! いや、紛れもなくあの雑踏やらバカ高いビルの建ち並ぶあの香港なんですけど、まるでパリ! 『PTU』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110602/1306940657)の夜の香港と対照的に、こちらは昼日中の香港を信じられんくらいスタイリッシュに撮っている。同じ香港、でもいつもと違う顔。『単身男女』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110313/1300018060)では香港の「高さ」を実感したが、本当に色々な表情がある街なのだねえ。
まるでおしゃれ映画のごとき風情なのだが、そんな香港の街並を行くスリ四人組が、相変わらずのフード理論に則っていちゃいちゃいちゃいちゃしまくるあたり、紛れもないジョニー・トー映画。
「籠の鳥」文鳥をモチーフに、大富豪の愛人である美女のままならない人生と、そこに関わる事になったスリたちの物語を描く。……んだけど、四人がそれぞれ美女にたぶらかされるシーンよりも、圧倒的に男同士のいちゃいちゃシーンの方がインパクト的に勝っているんだよね。べた〜な風を装った男女の出会いに対し、食堂シーンの仲良さげなホモソーシャル感のオリジナリティで圧勝。そもそも、そのヒロイン役のケリー・リンがいまいち色気なくて『MAD探偵』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110308/1299510758)の役の方が百倍はまっていたり……。このあたり、トーさんは女優を美しく撮る以前にチョイスがいい加減なんでは、という感じさえしてしまったなあ。
ただ、構造的には非常に美しく完成された佳品で、最初から最後まで行き届いたセンスで見せてくれる。最後のスリシーンも冷静に考えると何の意味があるのかよくわからないんだが、ジョニー・トー映画なのに『暗戦』以上に銃を使わないのは新鮮。とは言え、あの口に含んだカッターは充分怖いけどね!
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