"それに何を求め、何を見るのか"『プロメテウス』


 リドリー・スコット最新作! 試写会で鑑賞。


 複数の時代の異なる遺跡から発見された、巨大な人と謎の天体の壁画。それこそは、人類の創造主からのメッセージではないか? 巨大企業ウェイランド社の出資のもと、壁画の発見者である考古学者エリザベス・ショウたち調査チームは、宇宙船「プロメテウス」号で示唆された天体に向かう。そこは太陽が存在し、大気と水のある星だった。遺跡を発見した彼らは、そこで謎の人型生命体の遺体に遭遇するのだが……。


 情報が錯綜していて、あの映画の前日談らしいのに宣伝では全然触れられていなかったり、吹替版は剛力の神が声優することになったり、何かと公開前から波乱含み?な作品。


 観た感じでもそのドタバタぶりが微妙に後を引いている感じがあって、特にアレの扱いが不可思議。デザインの外しっぷりやアクションなど、似ているけれどちょっと違う、でもやっぱりアレ?と妙に座りの悪い気分を味わった。そして、重要なガジェットではあるものの基本的にお話には関係ないんだよね。アレとは関係あるんだけど、でも新作、新シリーズとしても売りたいし……という中途半端な思惑をひしひしと感じる。
 IMAX3Dで描かれる大瀑布、異星の広大な環境の映像は素晴らしい迫力で堪能しました。しかしながら、乗ってきた「プロメテウス」号と遺跡を往復するだけの話でもあるので、スケール感があるようなないような、ここでも座りの悪い感じがひしひし。
 観ながらずっとこの座りの悪い感覚に悩まされ、そろそろ盛り上がるかな、そろそろ面白くなるかな、という思いがなかなか消えなかった。


 エンドロール見るまで出てるの気づかなかったガイ・ピアースや、アンドロイド役がハマりまくったファスベン、半裸で腕立て伏せするシャリーズ・セロン、ちょっとウエットなキャラのノオミ・ラパスなど、メインキャラは流石に立っているが、もう一人美味しい役だったはずの船長が、どうも後半の活躍と序盤の空気ぶりがマッチしない。これはおそらく『ロビン・フッド』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20101230/1293672340)の子供軍団ばりのキャラ描写カットがあったのではないかな。リドリー・スコットと言えばディレクターズ・カットがおなじみだし、そちらでは船長の渋い大活躍が増量されているに違いない。
 ところで、船長が偏愛する音楽や、ファスベンの教養志向などで、細かいタイトルが色々と出て来るのだが、このあたり字幕が固有名詞ばかり並べただけで一向に頭に入らなかった。ここらへん、音楽詳しい人は面白かろう、と思うんだけど。この感覚、何かに似てるな……と思ったら、ああ、字幕なっちね……『ヤング・アダルト』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20120306/1331007057)の時と同じでした。なんか最近ますます固いのは、評判悪いの聞いてて守りに入ってでもいるのだろうか。「エンジニア」とか、そのままやん! 


 公開前だし、詳しくは書かないでおくが、遥か彼方の星へ「人類の創造主」に会いに行く、ということで、当然「神」と絡めた信仰の話になっている。今ある我々の存在を肯定したいというバイアスのもと、その「創造主」に幾多の想いが投影される。その答えとは……。そう、こいつこそが「エイリアン」だったのだね。
 後半、その骨太な問いかけが少しずつ形になり、「信仰」と表裏の関係にある「真実に対する探究心」が示される。そして、地味だ地味だと思っていた遺跡があんなことになり、うおおおお、わーっ、ドッカンドッカン……! 頑張れ! うわーっ……! とこんな感じで(どんな感じだよ)、最後は盛り上げてまとめてくる辺り、さすがは巨匠リドリー・スコットですな。一番好きなのは手術シーン! タイトルが『プロメテウス』なのも、そういう意味か、と。SFらしいムードも満載だし、お約束のアレもあるよ! ただやっぱり(もうあると決めつけてるけど)全長版で見たかったなあ。

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