『新機動戦記ガンダムW フローズン・ティアドロップ 6 悲嘆の夜想曲(下)』隅沢克之

 過去篇はつじつま合わせのために色々と書き込まねばならん分、現代篇になると異様にテンポが上がるね。今回はいよいよ「ガンダム」パイロット同士の激突が始まる。いや、この序盤の対立こそが『W』だな。しかしプロメテウスは、未完成だしシェヘラザードとパイロットが入れ替わってるし、色々と座りの悪い感覚が満載で、5機揃うまでが歯がゆかったテレビシリーズを思い出すなあ。


 スノーホワイト以下、新機体も実はすべて旧時代の遺産であったことがわかり、高性能のモビルスーツは、もはやこの世界では美術品のような存在になっている印象。それは作品自体が目指すものにも共通していて、細部まで同じ意匠の装飾(キャラクター)が施された精緻な美術品を目指しているかのようだ。物語、世界観のどこを開けてもメインキャラクターが絡んでいて、異物の入り込む余地はない。広がりのないマニアックかつ閉鎖的な種明かしと見る向きもあろうが、これはこれで『W』という作品、作者の一人である隅沢克之のカラーというしかない。
 しかしそう考えるとウーフェイが一人おっさんで混じってて、乗ってるのがエピオンという状況は座りが悪すぎるような気がするが、これは序盤の「ぶれ」なのか、それとも最後までこのまま行くのか……。


 ガンダムのデザインをなかなか出さないのは、テレビシリーズ、映像化前提の作品では絶対無理だよね。今回もスノーホワイトワーロックのデザインは出ず。やっと出たプロメテウスも未完成で色も不明、でもEW版マグアナックの全身が見られたのは嬉しい。


 『敗者たちの栄光』3巻は、やっとテレビの8話まで到達。色々とエピソードをまとめていて、ドーリアン父が巻き添え死。これでレディ・アンが仇ということになるか? それにしてもいちいちバスターライフルの残弾をつぶやくのは、もういいんじゃないか。ださいし、読者が数えたらそれでいいんじゃない。


 『SDガンダム ジージェネレーション オーバーワールド』ではEWウイングも出るようで、楽しみだな〜。

SDガンダム ジージェネレーション オーバーワールド

SDガンダム ジージェネレーション オーバーワールド