"わたしがほしいものは"『LOVE』


 大阪アジアン映画祭2012(http://www.oaff.jp/)にて鑑賞。月曜夜ガーデンシネマの回に行ったが、満席立ち見! 二日前のシネ・ヌーヴォでの上映でも立ち見だったそうで、凄い人気だ!


 親友ニーの恋人カイの子を身ごもってしまったイージャ。中絶するか悩むイージャの兄クアンは、勤めるホテルで謎めいた美女ファンに出会う。北京、そして台北を舞台に交錯する恋愛模様。


 『ラブ・アクチュアリー』(観てないけど!)、『そんな彼なら捨てちゃえば?』みたいな、恋愛もの群像劇。作品の紹介記事(http://www.oaff.jp/program/screening/06.html)。『モンガに散る』の監督の作品だそうで、やっぱり観ておけば良かったか?


 オープニングの長回しで、メインの登場人物の紹介が全て為される。この後、直接絡むキャラも絡まないキャラも交錯し、この後の出会いや関係の変化を暗示する。何組かの男女の関係が主軸になるが、別々のカップルの誰かと誰かが兄妹だったり、父娘だったり、複雑に錯綜して、互いに影響を及ぼし合う。ヴィッキー・チャオスー・チーが『クローサー』以来の競演か!と興奮してたが、オープニングですれ違うだけで顔合わせなかったりと、結局会わずじまいのキャラクターも。キャストは台湾と中国から選出されていて、民族の違いをネタにするシーンも。
 ストーリー自体はそれほどひねりのないもので、登場人物の多さゆえに結末が千差万別になり「悲喜こもごも」となるような複雑さはない。過去は過去として、前を向いて新しい関係を築いて行こう、というテーゼが全編に通底され、タイトルの「LOVE」へと落ちつく。128分と長尺だが、群像劇ということで普通の恋愛映画2〜3本分ぐらいのプロットがぶち込まれているので退屈しないし、オープニングを始めちょっと凝った映像作りもあり。
 メインキャラの過去はさらっと台詞で語られるばかりなのだが、唯一登場人物の一人が孕むシーンだけ、急に過去回想になるから、ちょっと座りが悪い。最初「あれっ、またしてんのこの人たちは?」と思って、映画終わりかけの頃にやっと回想と気づいた。多分、このシーンだけはちゃんと経緯を見せておかないと、この二人が最低な奴らなんじゃないの、という疑惑が立ちこめて来るからなんであろうが、ここも見せずに貫徹してほしかったようにも思う。


 ヴィッキー・チャオは年相応になってきた感じだが、スー・チーは老けないな……でも老けてないんだけど年下の童貞をいただいてしまうキャラが異様にはまる……。ヴィッキー・チャオが一歳年上だけど実際は一ヶ月差なんだよね。


 とりあえず一本目ということで、面白かった。これからまだ五本観るからね!

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