"サングラスの奥に"『幸せの行方…』
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不動産王の息子のデイヴィッドは、ケイティという女性と出会い、恋に落ちる。父と家業を嫌い、ケイティと結婚して田舎に移り住んだデイヴィッド。だが、小さな雑貨屋はうまく行かず、やがてケイティが妊娠したことがわかる。父の元へ戻ったデイヴィッドは、ケイティになぜか中絶を強要する……!
キルステン・ダンストのヌードと、人気急上昇中のライアン・ゴズリングが売り、という映画。一応サスペンスものだそうなので、これはもしや好物かも……ということで行ってきた。衝撃のラスト!とか書いてあるしな。
実話がベースということで、前半は夫婦生活とその破綻、後半から事件の謎が解き明かされる……という構成。……だからして、前半の何も起こらなさがすごい! いや、前振り必要だし丁寧にやらなきゃいかんのはわかるんだけど、ちょいちょいライアン・ゴズリング演ずるキャラクターの不穏さを描きながらも何も起きないために、かえって後半との落差が生まれず淡々としてしまっている。
こういう実録ものっぽい作品って、何があったかな? とりあえず思い出したのは『誘う女』だが。実際問題として大きな出来事は起きていないのだけれども、サスペンス映画らしく盛り上げなければならないから思わせぶりな演出が先行してしまうし、実話としてはショッキングかつスキャンダラスでも、映画にしてしまうと地味だったりする。結果として締まりのない印象になる。
主演陣は皆、熱演で、ライアン・ゴズリングの父に愛されず期待に応えられない男の姿はなかなか良い。『ブルー・バレンタイン』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110504/1304412562)にも通じるが、父親から認められたいという気持ちと離れたい気持ちが両方あってその矛盾をもてあましているし、父親は常に彼を支配していないと気が済まない。「役立たず」と断罪しながら、それならそれで籠に入れておきたい。そんな父への反発にもトラウマにも自覚的になれず、母を「殺した」父と同じ事を繰り返す、あまりに利己的な心性。おぞましいね〜。
しかしながら老けメイクや女装、ハッタリ演出が先行し、その辺りの演技や演出をじっくり楽しむ映画にはなっておらず、もったいない。その中で良かったのは、メガネ、サングラスの使い方かな。感情を見せない父親と同じく、彼が自分の心を殺すことを表現している。その先にある冷徹さ。やっぱり『ブルー・バレンタイン』では別れて正解だったかも、『ラブ・アゲイン』も早く別れたらよいよ、とか考えてしまったね。
見る前にビール飲んだらうとうとしてしまい、肝心の?キルステンの乳首を見逃したらしく、まあ別にどうでもいいや、と思っていたら、鑑賞後に「実はまったくヌードに興味ないよね、男の身体には興味あるみたいやけど……」とあらぬ疑惑をかけられてしまったのであった。確かに自分の身体には興味ありありですがね!
未公開作品はやっぱり未公開のままでもいいんじゃないか、と思わせる内容であった。ちなみにこの後の『ラバー』はスルーしたが、こちらも憤死ものの内容だったそうで、「貴重な機会」とかいう言葉に釣られるのはほどほどにした方がいいのかもしれない……。
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