"ガハハ笑いのその奥に"『私だけのハッピー・エンディング』
ケイト・ハドソン主演作!
広告代理店で活躍し、決まった恋人も作らずに自由気ままに生きているマーリー。だが、ある日、末期ガンの宣告を受けてしまう。治療も続かず、余命が近づく中、死の恐怖にさらされ、友人や不仲の両親に当たるマーリー。主治医のジュリアンとの恋も受け入れることができない。しかし、周囲の人々の行動が、少しずつ彼女を変えていく……。
ケイト・ハドソンと言えば『キラー・インサイド・ミー』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110502/1304263135)を観て、自分より年下なのに、最近『スケルトン・キー』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20090801/1249121995)あたりと比べても老けたなあ、まあこれは田舎の教師役で娼婦ジェシカ・アルバとの対比だからしようがないか……と思っていたところ。で、今年二本目の主演作、ということで、やっぱり現代に戻って来てもおばさんぽくなってしまっていた。今回の相手役はハビエル・バルデム、しかしいくらなんでもこんなごついオッサンと恋愛しなくても……と思ってたのだが、それはオレの勘違いで、相手役はガエル・ガルシア・ベルナルだったのであった。いや〜、ちっちゃいイケメン医者が出て来たからビックリしたね! 『バベル』のなんでこんな役引き受けたのというしょーもないチンピラ役しか覚えてなかったので余計に。それにしても小さい! 撫で肩だし。ほとんどの女性の登場人物より小さい。しかも趣味はヨーヨー。しかしながら、ラストシーン近くになぜかプールのシーンがあって無駄のない肉体美を披露していたあたり、本人も自己主張したい気持ちがあったのだろうか……。そしてあの尻はダブルだったのだろうか……。
主人公は仕事三昧で、両親をないがしろにし、男との関係には楽しみしか求めていない。そんな彼女が大腸ガンであることが発覚し、今までの人生を見つめ直す。身もふたもない言い方をすると「バカは死ななきゃ治らない」という話であり、こういう契機でもないと人間て変わらないのか、と少々考え込んでしまった。ただ、これは誰にでも起こりうる話でもあるんだよね。人間いつ死ぬかわからんし、ガンなんてありふれ過ぎている。
「病気」「ガン」そのものを描いた映画ではないため、病気の描き方はあっさりしていて、最初から末期、治療も望み薄、行き先は決まっている。少々ファンタジックな処理も含め、筋はかなりベタベタで、全然新味はない。が、主人公のガッハッハと笑いそうな豪快なキャラクターが病気でしぼんでいく振れ幅に、医者、友達、妊婦、隣人、同僚、両親などが絡んで行く構成は、役者陣の好演も含めてなかなか良い。「そんな顔されたくないのよ」と言う台詞があるが、他にどんな顔をしろって言うんだ! 死を間近に控えた人間に対して、やれることなんて限られている。取りあえず「何もできない」という前提を、まず受け入れるしかない。
ケイト・ハドソンは露悪的な行動の裏に寂しさや負い目を隠した人物を熱演し、病と死を受け入れて行く姿を見せる。自分は強い人間だから好き勝手やって何が悪いんだ、という哲学が脆くも崩れ去り、己のどうしようもない弱さを自覚する。しかしそれこそが知らないままに隠していた自分の一面を悟る契機にもなる。そして、命を救うことはできなくても、痛みも恐怖も、本人や周囲の人間次第で和らげることができるという希望を見出す。
ガエル・ガルシア・ベルナルも、今までヤクをスースー吸い込んでるような役しか知らなかったから、結構新鮮だったな〜。ケイト・ハドソンがでかいので、余計にちっちゃくて可愛く見えるし、真面目で不器用なキャラクターも良いですな。
母親役はもちろんゴールディ・ホーン……じゃなくて、キャシー・ベイツだった。こちらは存在感ほどには活躍しなかったな〜。せっかくウーピー・ゴールドバーグと共演なのに絡むシーンがないなんて! 凄い激突が見られたかもしれないだろ!
ただ、なんかセフレの男への扱いは悪かったな〜。別に悪い奴でもなかったのに、完全に忘れ去られたのは「運命の男」の前には邪魔だからか……。こちらも『50/50』の元カノ(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111214/1323775719)ほどではないが、ちょい気の毒でした。ところで、このセフレ相手の時は犬を閉め出すのに、ベルナル君相手の時は一緒にベッドに入ってるのはなぜ……。ここの意図はちょっとわからなかったが、後ろめたさの表現だったのかね?
邦題の「ハッピー・エンディング」の通り、終盤も過剰な泣かせに走らず、軽めのタッチで通す。年末の難病映画三連打の二番手ということだったが、まずまずの佳作。これにて2011年の劇場鑑賞は終了で、年明けの『永遠の僕たち』へGOだっ!
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