"100年後の100本目"『1911』
ジャッキー・チェン出演100本記念作品!
衰退し、列強の侵略を許す清王朝に対し、不満を募らせる民衆。海外で学んだ革命家・孫文の親友にして革命軍の司令官・黄興は、不在の孫文の意志を背負い、各地で戦い続けていた。だが、戦況は思うように好転しない。一方、孫文もまた革命を成功させるべく、海外で他国の大使に対し熱弁をふるっていた。
100本のリストはこちら(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111115/1321352076)。
漫画で読んだいい加減な知識しかない中国近代史を記憶から掘り起こしつつ見ていたが、さすがに元の歴史が重要かつ壮大過ぎ、映画としても要約としても解釈としても最大公約数的にならざるを得ないところなのが、歯痒さと共に伝わる。戦闘シーンもダイジェスト的な構成が多いし、逆にこのナレーション中心で端折って行くところが、むしろドキュメンタリーチックな手触りを生んでいる。その分、劇映画としての躍動感や情動の揺さぶりは寸断されて犠牲になってしまっているのは否めない。
ただまあこの数年前に『孫文の義士団』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110312/1299929052)があり、一年後に『新少林寺』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20111122/1321972375)があり、さらに後に『ラスト・エンペラー』があったりすると思えば、徐々に流れが見えて来て面白い。
演技者ジャッキー・チェンは今回も熱演。ジャッキー・アクションもちょっとだけあった! 孫文を狙う刺客を蹴散らす、割合シリアスなファイトシーンだが、おなじみのテイストのアクションだ。将軍なのに私服で軍の指揮取ってて、「逃げる気か!」と脱走兵に間違われるあたりは、いつもオフィスビルの前を自分で掃除しているジャッキーらしいエピソードだし、そういう意味ではらしいところもある作品。顔覚えてるつもりだったジェイシー・チェンがいまいちどれかよくわからなかったり、リーの方のビンビンをひさびさに見たり、ユー・ロングァンが出てなくて残念だったり、ここらへんもジャッキー映画的だね(何が……?)
いい加減にぐずぐずになってた清朝だが、それでも革命軍は戦っても勝てず、内部からの崩壊を誘い世論を動かしていかなければならなかった。封建制の強固さを、その敵である孫文こそが最も力説するあたりが印象的。弁髪と洋装が入り乱れ、混淆した風景。日本人の想像の及ばない、途方もなく広い国土があり多数の民族が暮らし多くの王朝が生まれては消えて行った国。僕はまだその国のことを何も知らない。
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