”今夜も気紛れなあいつが来ました”『パラノーマル・アクティビティ3』


 ついに第三弾! ハロウィンの顔に! 


 あの事件の十数年前、ケイティとクリスティに何が起きていたのか……。母親と、母の恋人と暮らしていた二人。クリスティは「トビー」という存在と会話を繰り返し、ケイティは次第にそれに怯えるように。そして周囲で巻き起こる怪現象……。家中にカメラが設置される中、「それ」が動き出す。後の事件と同じように……!


 このシリーズが公開されるたびに「パラマウント」、それも映画会社の方じゃない介護ベッドの会社を思い出し、かつてしょっちゅう流れていたベッドのCMの「パラマうんと元気になってね!」という空疎なシャレが頭の中を駆け巡ることに苛立ちを覚えつつ、「パラ」が一致するだけなんだけどなんかあのCMに絡めてギャグが出来ないかなあ、と思いながら早一年と十ヶ月。つぶやきコピー大賞を取ったあの閃きも今や昔、今やっとこさ「パラノおまるでお○っこしてね!」という最低の下ネタを思いついたことで、この苦悩の日々に終止符を打ちたいと思います。


 『2』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110222/1298373468)がひどくつまらなかったので心配だったのだが、今回はまずまず。
 時代を遡って80年代にしたことで、テクノロジー的な小細工に映画が走る余地を失ったため、かえって演出に創意工夫や細やかさが生まれたように思う。首振りするカメラの仕掛けなんか、シンプルの極みで、次どうなるかバレバレなんだけど「あ〜、なんかくるぞなんかくるぞ、うわ〜来た!」とそれだけで結構ハラハラさせるものである。
 撮影の手法自体でなく、画面の内側で何が起こるかに心を砕いた結果、ドッキリ演出もスケールアップ。基本リアクションのない赤ん坊よりも、少女二人の方が動きが出て面白い。『2』をすっ飛ばしていきなりこっちだったら良かったのになあ。


 クライマックスらへんの展開なんかは、アン・ライスの『魔女の刻』シリーズを思い出したねえ。女系家族に取り憑いた精霊……トビーという名前や第一作の男の惨殺されっぷりなどからも、男性的な存在であると思われるがその正体や目的は今もって不明。そのあたりはぼかしてるというか、あまり深く設定してないのだろうが……。今回は娘二人いる母親と、その恋人のニートカメラマンということで、もはや結末は推して知るべしである。


 やっと正しくスケールアップした続編(前日談)で、第一作が好きなら結構楽しめるだろう。POVとしては、相変わらずの「編集済」な感じも心地よい。でももう次はいいかな……。

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