"来年夏をお楽しみに!"『キャプテン・アメリカ/ザ・ファースト・アベンジャー』


 最初のヒーロー、ついに降臨!


 喘息持ちで徴兵検査にまったく合格しないスティーブ・ロジャース青年。勇気と愛国心に溢れる彼は国のために戦いたいと願い、出身を偽って幾度も検査を受けていた。ある日、何度目かの検査の時に、スティーブは謎の科学者に声をかけられる。それは特殊な血清を用いて超人的な兵士を作るための実験への誘いだった。試験をくぐり抜け、実験に臨むスティーブ。だがその時、秘密組織ヒドラの魔の手が迫る……!


 予告からびっくりしてたが、痩せと筋肉のギャップがすごい! ハリウッド俳優なんだから、そこそこいいガタイしてるのが当然だろうが、特撮で作ったらしい痩せ状態の映像が物凄く自然だ。
 40年代の街並のセットとか、女優さんの衣装とかは好きだが、ああいう時代に生まれたガリガリのチビ男の葛藤たるや、少々ぞっとするものがある。だが、力の論理がまかり通る戦時中に、誰よりも力がない存在でありながら、それでも力を欲するのではなく、ただ正しいことのために戦おうとする。その姿はヒーローたるにふさわしい。
 アメリカ人てマッチョ好きだな〜、と思ったが、マッチョになってから最初にやることはただの客寄せ。


「志村! うしろ〜!」


には笑ったが、この辺りも、単に肉体に象徴される強さではヒーローで在れないことの表現。意志と行動が伴って初めて英雄になれるのだ。
 アメリカ万歳も、ただのマッチョイズムならバカこけってとこだが、なんか品のいい人だからこそ、このキャラが成立する。


 すでに観る側も作る側も「心はすでに『アベンジャーズ』!?」みたいな感ありで、『アベンジャーズ』の最後のピースとして必要な伏線をまとめて盛り込んだ作品となった。『アイアンマン』からは、意外にいい人だったスターク父が登場。『マイティ・ソー』(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110711/1310294131)からはオーディンの力を秘めたキューブが。1942年という舞台から、ヒーロー集結となる現代にいかにしてつながっていくかも見どころ。
 ……なので、ちょっと今作品の本筋の印象が薄い。ヒューゴ・ウィービングは魔王スケルターみたいだったなあ(http://d.hatena.ne.jp/chateaudif/20110408/1302228738)。あのドクロ顔はさすがにいけてない、というか、なんで単色なんだ!? しゃれこうべの表面を薄く筋肉が覆ってる状態なのかな。それだったらもっとグロくて然るべきだと思うのだが。
 中盤のキャップ無双の端折りぶりは嫌いじゃないのだが、逆に盛り上がりどころも端折り気味で、ちょっともったいない。友達との絡みとかもっと盛り上げられたと思うんだがなあ。


 まあ色々あった末に、お話は『アベンジャーズ』につながるわけだが、ソーさんとアイアンマンに挟まれて苦労しそうだな、キャップは……。

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