"北京から来たボディガード"『ターゲット・ブルー』

 DVDにて鑑賞。たぶん4回目ぐらい……。


 殺人現場を目撃した証人が、次々と消されていく。容疑者である香港有数の実力者チュウの差し金によるもので、最後の証人である教師のミシェルも狙われることに。ミシェルの恋人である資産家のソンは、つてを頼って要人警護のプロフェッショナルを北京から呼び寄せる。その男チンヨウの徹底した監視と護衛に、最初は苛立っていたミシェルだが……。


 『ワンチャイ』以降のいわゆる「弁髪カンフー物」路線から一息ついて、現代劇に再進出したのがこの作品。『ボディガード・フロム・ペキン』ということで、ケビン・コスナーの『ボディガード』とほぼ同じ話、なんだがこっちの方が百倍面白いぞ! この時期の現代劇は『ハイリスク』『D&D』『ブラック・マスク』とかみんな面白いからオススメな!


 最初はツンツンしている証人の教師、ほぼ軟禁状態で警備されてジェット先生にむかついているのだが、危機感なく買い物に出たところをデパートでえげつない数の殺し屋に襲撃される! しかし間一髪駆けつけたジェットが鉄壁のガードでこれを蹴散らす! このシーンは現地に行って真似したい、素晴らしき完成度。殺伐とした銃撃シーンなのに、どこかダンスを踊っているかのような優美さがある。


 これですっかりメロメロになってしまったヒロインの猛アタック! きみ、婚約者おるんやろ!?というツッコミも虚しく怒涛の寄り! しかし絶対に据え膳を食わないジェット・リー先生の安心のクオリティ。誘惑に負けるな! がんばれ! 切々と愛を歌い上げる主題歌だが、歌詞が、
「守られていることに酔ってしまうわたし……」
 最低! いや最高だ!


 だが、そうして雰囲気がゆるくなってきたところに、デパートで弟を撃ち殺された元軍人のコリン・チョウが復讐の炎を燃やして襲いかかる! ガスの充満する屋内での死闘!


 『キス・オブ・ザ・ドラゴン』のキャラクターなんかも、これがベースだよね。 女を口説けないカンフーの達人の活躍は、妻帯者の中国系アメリカ人刑事を演じた『ザ・ワン』まで延々と続くことになる。持ち味であるきびきびしたアクションが、ボディガードという機敏さと几帳面さを要求される職業にマッチした、素材の良さを生かした名品。

ハイリスク [DVD]

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D&D 完全黙秘 [DVD]

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ブラック・マスク  [DVD]

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キス・オブ・ザ・ドラゴン [DVD]

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