"オマエらはバカだがオレも凡人"『26世紀青年』
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米軍基地図書館の司書といういてもいなくてもいい役職のジョーは、その閑職から外され一年間冷凍カプセルに入る実験をさせられることに。だが、担当の上官が不祥事で逮捕され、彼と民間の女性リタの入った冷凍カプセルは、そのまま500年に渡って放置される。目覚めたのは西暦2505年……そこは数が増え過ぎ、バカばかりになった未来のアメリカだった!
『バス男』と並んで最悪の邦題と呼ばれた作品だが、内容はまずまず面白い。全編で描かれる「バカ」の妙なリアリティが可笑しく、思い通りに動いてくれなくていらいらさせてくれる感じが絶妙。
凡人である主人公はそれに比べるともちろん賢いのだが、かといって状況を変えられるような才覚もない。バカに振り回されながらも脱出することもできないし、逆に頼りにされても何もできない。主人公の求めるものは、ただただ「平穏」であるのに、それが許されなくなる展開は、例えばジャック・ブラックの『ガリバー旅行記』などとは対照的だ。好んで祭り上げられたがる人間と、その責任を自覚するがゆえに避けたがる人間。自覚し、分不相応な荷を下ろすか、それでも自分のできる範囲で背負うことをするか。
設定が知能の高い低いのみでシンプルにまとめられているのでわかりやすいが、「アメリカ」を表現するキーワードに乏しく、今後はこうなる、と言い切る程の風刺性はないのが惜しい。もっと皮肉のスパイスを効かせた方が良かったと思うが……。
ルーク・ウィルソンはほんとに凡人役がぴったりだな。ジャスティン・ロングがめちゃちょい役! あと『ローラーガールズ・ダイアリー』のコーチがファイアーボール(by『バトルランナー』)みたいな役で出てた!
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