"「……」←怒りのあまり言葉が出ないらしい"『ファースター 怒りの銃弾』


 ロック様ことドウェイン・ジョンソン主演作! WWE復帰おめでとうございます!


 刑期10年を終え出所した「ドライバー」は怒りに燃え、自身をはめた奴らへの復讐を開始する! 白昼の射殺事件を追う「コップ」、そして「ドライバー」に狙われている者からの依頼を受け彼を暗殺しようとする「キラー」……三者三様の思惑が絡み、真昼の決闘が始まる……!


 常に怒りっぱなしのロック様、正直、出演作をかなり重ねているはずなのに演技力はまったく発揮されていなかった。が、その「怒ってます!」と今にも血管が浮きそうな表情で、実際に白昼堂々、衆人環視の中に踏み込んで射殺というあせりっぷりなものだから、シチュエーションと演技が合っていないという致命的事態は避けられている。いわゆる『ターミネーター』におけるシュワのごとき適材適所。いやほんと、wikiを見てたらいつのまにこんなに出演作増えてたんだ?と驚いたが、これでいいのだろうか……。
 序盤で「元UFC王者のサモア人」がロック様にびびって逃げ出すシーンあり。これは遠回しにWWE>UFCを言いたいのであろうか……? それ以前に殺気が立ち上り過ぎ。剣呑剣呑。
 しかし、復讐ものなのに見つけた仇をただただ一発であっという間に射殺し続ける姿には、まるでウエスタンのような乾いた感覚が横溢しており、そんなクラシックな雰囲気の中でロック様の無言の「風格」が、妙な重みを持って迫って来る。内容は『続・荒野の用心棒』へのオマージュらしいですね。後半は徐々に苦悩の色を増し、台詞も増え……増え……増えなかった、ごめん! でもカッコいいよ、ロック様!
 あまりに寡黙なので、何がやりたいのかちょっぴりわからないのだが、ストーリーの進行に沿ってそれがじわりと解き明かされていく過程が心地よい。基本、シンプルな構造なので、ラストに向けた大ホラも効いて来るし、登場人物に多少癖があってもバランスが取れてしまう。


 それを追ううらぶれた刑事役のビリー・ボブ・ソーントン、ヤクを常習していてもうヨレヨレ、手首にはかつての栄光である「アンジェリーナ命」、違った強面揃いの特捜班のメンバーであった証の入れ墨をしているが、もはや見る影もなし。退職まであとちょっとお勤めするだけ……。
 そしてそれと嫌々コンビを組むカーラ・グギーノ。ロック様とは『ウィッチ・マウンテン』に続いての共演だが、絡みはなし。『エンジェル・ウォーズ』はもう記憶から抹消したので、オレの中ではいまだに『ザ・ワン』のジェット・リーの嫁だ〜!


 さて、もう一人、ロック様を追う殺し屋がいるのだが、こちらは美女と豪邸に住んでうらやましい生活を送ってる男で、登山やヨガを極め、殺しもスリルのためにやっているような人物。全然知らない俳優だった……。オリバー・ジャクソン・コーエン、『遠距離恋愛』に出てたはずだが、記憶になし……。殺し屋としてもちろん凄腕なのだが、ロック様と対峙して仕留め損ない、女に述懐する。「あいつは獣だ……!」(ちょっと台詞違うけど、だいたいこういうこと言うんで!)。
 こやつがロック様に迫って来るせいで、何かと緊迫感も増して来る。正直、キャラ立ちが足りないなのだが(おいおい)、100分以下のランタイムに、こうして三人目のストーリーが詰め込まれてるせいでテンポは俄然上がる。もちろん終わった時に、え、この人の存在意義っていったい何だったの……?と考え込んでしまうのだが、まあいいや!


 あまり冷めて考えるとむにゃむにゃなところが多過ぎるが、深く考えずに浸るのがよい、そんな作品であります。あ、そうそう、ちらっとだけトム・ベレンジャーも出てきます。『インセプション』の時より太ってた!

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