"下り最速は誰だ"『頭文字D THE MOVIE』

頭文字<イニシャル>D THE MOVIE ブルーレイ 期間限定スペシャルプライス版 [Blu-ray]

頭文字<イニシャル>D THE MOVIE ブルーレイ 期間限定スペシャルプライス版 [Blu-ray]

 人気漫画の映画化!


 藤原豆腐店の一人息子・拓海は中学生の頃から、父親のハチロクで豆腐の配達をしている。ある朝、いつも通る峠で走り屋の中里を追い抜いたことを切っ掛けに、彼は秋名山の下りを舞台にしたバトルに巻き込まれる。それは、自分の才能をまだ知らない少年に、新たな扉を開くものだった……。


 結構昔に観た映画を傑作と記憶していて「最高! 素晴らしい! 絶対観て!」と人に薦めた後、改めて見直してみたら実はそれほど面白くなかった……ということが、たまにある(おいおい)。心配になったので、再鑑賞してみた。
 しかしまあ、劇場で字幕版、DVD買って吹替えも一回見て、今回がトータルで三回目。そんなつまらなかったら、すでに二回も観てないって。


 監督がアンドリュー・ラウなのはもちろんだが、もう一人の共同監督がアラン・マックというのはいいよね。カウンタックみたいな響きで、いかにも車の映画の監督と言う感じがする。


 漫画の映画化なんだが、キャストの似てる似てない、登場人物のカット、ストーリーの改変等はまあ普通にあるらしい。読んでないので知らないのだが……。タイトルの『D』が何のイニシャルかも知らず、「大豆のDだろう」とか言ってたことも内緒である。それよりも、画面を漫画のコマのように分割したり、レース中にコースの全体像をCGで入れ込んだり、随所にコミック的な演出がされているところが面白い。
 「ハチロクだ! ハチロクが上がって来る!」というマンガ的な説明台詞もいかにもという感じで熱いのだが、これも実際の公道でレースしていて、スタートとゴールにいる観客には無線で実況がなされている、という状況ゆえ。やや大仰なのだが、必然性がちゃんとあるのだ。
 実際にスタントチームで実車を走らせ、ともすれば何をやってるのかわからなくなりかねない、追い抜く追い抜かないの僅差の攻防をテンポ良く描く。


 カリスマシンガーなのにENEOSの制服が似合い過ぎなジェイ・チョウ。いや〜、初めて観た時はその地味さに愕然となり「何者!?」と思ったよ。エディソン・チャンショーン・ユーという二大イケメンが「これが走り屋の標準的ルックスだ」と言わんばかりに登場するのだが、ジェイ・チョウは逆に地味フェイスなのにも関わらずそれ以上の才能の持ち主である、というギャップを生んでカッコいいのだ。
 例の事件の前のエディソン・チャンも、正々堂々としたクールなカリスマを好演。ジェイ・チョウとバトルを繰り広げる。いや〜、ちょうど『インファナル・アフェア』の後ぐらいで、この頃はカッコよかったなあ。同期のショーン・ユーが残念ながらかませ犬におさまらざるを得ないスマートさ。どこでもいいから、早く本格復帰しないものか。
 そして豆腐屋の親父役のアンソニー・ウォンが最高! なんでこんなに日本家屋と畳が似合うのか?


 少年の成長と旅立ちを描いた青春もののエッセンスも備え、レースの爽快感と共に爽やかな後味を残す名品だ。たまに観たくなる映画。

頭文字 [イニシャル] D SUPER COMPLETE BOX [DVD]

頭文字 [イニシャル] D SUPER COMPLETE BOX [DVD]

頭文字D(42) (ヤンマガKCスペシャル)

頭文字D(42) (ヤンマガKCスペシャル)

人気ブログランキングへご協力お願いします。