"ずっこけ四次元大作"『THE MYTH 神話』

THE MYTH 神話 [DVD]

　DVDで鑑賞。公開時、あまり評判がよろしくなかったような記憶あり。

　考古学者のジャックが夜毎見る不思議な夢……。自分は秦朝の将軍であり、他国から始皇帝に嫁いできた姫を護衛しているのだ。夢の謎を解き明かしたい彼は、親友のウィリアムの頼みで訪れたインドの古代遺跡で、宙を舞う石棺と宝剣、そして夢の中の姫とそっくりの肖像画を発見する。それは、過去からの壮大なメッセージの端緒に過ぎなかった……。

　レオン・カーフェイを貧相にしたような人が出てるな、と思ったら本人だった。劣化激しいな……。前年の『エレクション』(「くりごはんが嫌い」さんの評よりhttp://d.hatena.ne.jp/katokitiz/20101219)では渋かったらしいので、この役柄が不遇なだけか？　この精彩のなさを演技で出しているとしたらすごいのかもしれないが、ただ華のない人を呼んできても同じだったように思える……。
　対してジャッキーはつやつや。最近『ベスト・キッド』『ラスト・ソルジャー』と老けメイクばかり見てたせいで、妙に若く見える。

　インドまで繰り出し『サンダーアーム』ばりの遺跡アクション！　さらにインドの武術家とも対決。主演女優は韓国から呼んできて、空間的にはやたらとワールドワイド。
　それに加えてさらに時間軸を秦の時代にまで遡って古装片で武侠アクションやって、なおかつ現代ではいつものジャッキー・アクションもやるということで、さすがに手を広げ過ぎてずっこけ感が強い。おまけに反重力なんていう科学ネタ、さらに遺跡の保存や他国の出土品の返還など、真面目なテーマまで入っている。その上に恋愛ものでもあるのだ……。
　クライマックスにきて、やっとその大風呂敷の全貌が明らかになるのだが、詰め込んだ要素が噛み合っているかというと苦しい。
　ただ、『ラストソルジャー』以前に撮った古装片ということで、習作にはなったのかな。他国の主演級との共演も、この作品なしには存在しなかったのかもしれない。

　CGやワイヤーも多用しているが、NGシーンを見たら相変わらずジャッキーは高いところから転げ落ちている。さらに、韓国からわざわざきた女優キム・ヒソンも北京語の発音に苦しみ、ワイヤーが一本ぶっちぎれてつり下げられ、ジャッキーに受け止められずに顔面から柱に突っ込んでいた。危ないことやってるよなあ。

　香港の夕焼けやインドの山河と象、万里の長城など、アジア圏の雄大な風景の数々が、おそらく語りたかったのであろう壮大なテーマを物語っている。ランタイムも二時間越えで、色々と意気込みは強かったのかもしれないが、ちょっとまとまり切らなかった感じ。残念。
　ジャッキーも心残りがあったのか、後にプロデュースに回ってドラマ版を製作している。これは面白いのかな？

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