2010/12/11 K-1 WGP 2010 FINAL 試合感想

 いや〜、皆さんお久しぶりですね。お元気ですか? 消え行く格闘技界の火の行方に怯えてますか? じり貧ですけど、奇跡の一手なんてないですよね。こうしてぎりぎりの状態で、お客も入ってるのかどうか、視聴率も微妙な数字、そんな興行を繰り返して辛うじて凌ぎ続け、日本経済共々復興を待つ、それしかないのではないでしょうか。ブームが過ぎ去り、誰も観てないと馬鹿にされても、一緒に盛り上がる相手がいなくても、歯を食いしばって自分の好きな物を応援する。それしかないですよ。安心なんてありません。格闘技に対して、K-1に対して「愛」とか口にするなら、それぐらいの覚悟で臨むしかないですね。
 
 さあ、今宵も一緒に楽しみましょう。数はかつてよりずっと少ないかもしれません。でも、僕たちは一人じゃありませんよ。
 
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▼第1試合 リザーブファイト K-1ルール 3分3R延長1R


エヴェルトン・テイシェイラ (ブラジル/極真会館)


VS

エロール・ジマーマンキュラソー島/ゴールデングローリー) 
 
 序盤からテイシェイラが突っかける。一発縦に入った左が効いたか? ジマーマンが下がる下がる。コーナーに詰まったところで、あえてカウンター狙いのジマーマンだが、テイシェイラも無茶振りせず、ワンツー、ワンツースリー止まりのコンビネーションで落ち着いて攻める。
 完全に攻め続けて終えたテイシェイラ。前回からの恐怖心はなかったか、自信が感じられる。左アッパーがいい。前回も最後のダウン以外はやや優勢だったからかな。ジマーマンはちょっとタフネス頼みで、カウンター狙いに固執してしまったか。
 2ラウンド、ジマーマンもコンビネーションを決めるのだが、攻められるとカウンター狙いになってしまう。1ラウンド取られてる時にこの戦いはリスクが大きいよなあ。
 3ラウンド、堂々の逃げ切り態勢に入るテイシェイラ! ジマーマンは追いかけるが捉えられずに終了。
 
 UFCみたいな展開になったなあ。これは断固支持するがね。ジマーマン、アクセルの入り遅いよ。一発入れてから攻める、という横着な選手は、今回に限らずいつも厳しいねえ。ギタ然りイグナショフ然り……。


 
▼第2試合 トーナメント準々決勝 第1試合 K-1ルール 3分3R延長1R


マイティ・モー(アメリカ/フリー)

VS

ピーター・アーツ(オランダ/チームアーツ/K-1 WORLD GP 1994・1995・1998優勝)
 
 えええええええ、ここで左ハイ決めるか。モーはローキックへの警戒と、自らの一発狙いで左のガードがきっちり下がっていた。そこを見逃さず。
 
 相変わらずローブローアピールの激しいモーだったが、2005年以上に差は開いていた。最後のダウンもクリーンヒットはなかったんだが、決め所も間違えないこの老獪さ。恐るべしアーツ。
 
 
▼第3試合 トーナメント準々決勝 第2試合 K-1ルール 3分3R延長1R


セーム・シュルト(オランダ/正道会館/K-1 WORLD GP 2005〜2007&2009優勝、K-1スーパーヘビー級王者)

VS

京太郎(チームドラゴン/第2代ヘビー級王者) 
 


何か狙ってた感じはあったが、策で埋まるような差ではなかったな……。予定調和。京太郎なにも出来ず、なにも見せられず。
 シュルトさんはノーダメージではないか! 腹筋も割れてるし、コンディションも良さそう。これは盤石か……。
 
 
▼第4試合 トーナメント準々決勝 第3試合 K-1ルール 3分3R延長1R


グーカン・サキ(トルコ/チームレベル/K-1 WORLD GP 2008第3位)

VS

ダニエル・ギタルーマニア/Kamakura/K-1 WORLD GP 2009世界最終予選GP優勝)
 
 きたきた〜、注目カード!
 左ミドルがはええ。ギタはがっちりブロックして、蹴りの距離をキープ。顔面への致命的な一発をもらわなければ倒されることはなく、蹴りを返してダメージを蓄積させてやろうという戦術か。
 しかし2ラウンド以降、びくともしないギタに対して、サキも一歩も下がらず、わずかにコンビネーションの手数で上回る。ギタも下がって蹴りを返すのだが、サキも踏ん張って上下に振り続ける。
 勝負は延長へ。一者のみギタ支持だが、他はイーブン。
 
 延長も展開は変わらず。こうなると、コンビネーションでやや上体の浮かされたギタの蹴りに、威力がないのが響く。サキもかなりダメージはきてるはずだが、こうなれば我慢し通せば手数で勝ちだ。返しのパンチの届かないギタが、徐々にペースを取られる。いや〜一回戦の壮絶KOで、ギタは自らハードルを上げてしまった感もあるね。
 しかし、あせってパンチで打ち合っても、打ち抜いていたのはサキの右だったのではないか。最後まで己のペースを守り続けた両者、延長判定はサキが逆転でもぎ取った。
 
 耐え切ったなあ、サキ。フィジカルアップと体重増が、きっちり効果を上げた。ギタはギャンブルしないからなあ……やっぱりここ止まりの選手なのか……。
 
 
▼第5試合 トーナメント準々決勝 第4試合 K-1ルール 3分3R延長1R


アリスター・オーフレイム(オランダ/ゴールデン・グローリー)


VS

タイロン・スポーンスリナム/ブラックレーベルファイティング/WFCAクルーザー級2008世界王者)
 
 膝に合わせて左を打ち込んだスポーン、ラッシュをかけてアリスターを亀にさせる。ぜんぜんビビってないよね。1ラウンド崩して圧倒。これは番狂わせの予感が……。アリスターは二度もつかんでの膝を繰り出し、警告を受ける。あせりの雰囲気。
 しかし2ラウンド、頭をつけて打ち合いを挑むスポーン、ちょっと早かったか……。アリスターが打ち返し、力で押し返す。終盤に強烈な右でぐらつかせ、ポイントを取り返す。うーむ、なんでヒット&アウェイしないんだろう……? いや、これが百獣の王の誇りか?
 3ラウンド、ペースをお互い変えず。だがこれはアリスターの距離。渾身の一撃の応酬に、打ち勝ったのはアリスター
 もう少しアリスターに技術がなければ……もう少しスポーンに体格とパワーがあれば……もしかしたら結果は変わっていたかもしれない。だが、戦うのは今でしかない。スポーンは今日は一発病じゃないよね。フルにポテンシャルを発揮し、結果として力負けした。
 アリスターが力で判定をもぎ取り完勝。ここでも下馬評は変わらず。
 
 
▼第6試合 スーパーファイト 藤本祐介引退試合 K-1ルール 3分3R延長1R


ヘスディ・カラケス(エジプト/パンクレイション/チャクリキ/It’s SHOWTIME世界ヘビー級王者)

VS

藤本祐介(モンスターファクトリー/K-1 ASIA GP 2007優勝)
 
 フックを振り回して前に出る藤本。しかしカラケスはがっちりブロックし、打ち下ろしの右ストレートで立て続けに2度ダウンを奪い、右ローを振り落とすともう効いていた藤本は立ち上がれず。
 しーん……。引退試合だから、自己満足でいいっていう理屈はあるのかなあ……。
 そして長いよ、引退声明! 練習時間より文面考えてた時間の方が長いんじゃないの?
 
 
▼第7試合 FINAL準決勝 第1試合 K-1ルール 3分3R延長1R

アーツ


VS

シュルト
 
 1ラウンドでモーを片付け無傷のアーツ、フルラウンド戦ったが同じく無傷で京太郎を退けたシュルト
 んん〜、京太郎は何もできなかったが、アーツが最高の状態で上がってきたことで、わずかに希望はつながった。おっさん気合い充分やん! チャクリキ仕様のアーツがシュルトと対戦するのは初ということで、果たして前戦とどのような違いが見られるのか?
 凄まじい闘志で仕掛けるアーツ、右クロスから左ボディまで振るのは、近距離でのつかんでの膝がないせいか? しかしジャブと前蹴りを当てるシュルトがやや有利か。もう全身真っ赤のアーツ。
 しかしアーツ、今日はよく動けてる。スウェーでかわす場面も。
 
 2ラウンド、もはや特攻精神か。前に出続けるピーター。強烈な右ローから、ボディ、顔面へと振る。また距離感が絶妙で、シュルトは普段コツコツ当てるジャブとローが当たらない。相打ち気味の左右のパンチは当たっていて、ダメージは与えてるのだが、飛び込んでの右ももらいイーブン。
 
 3ラウンド。それでもまだシュルトには余裕がある……と思ったのだが……アーツがなんかおかしい! 普通じゃない! なおも前進を続け、強引に顔面に入れ込む。つかんだ距離感を本能でキープし、右ローを落としては飛び込み続ける。シュルトは先手を取られ、迎撃が間に合わずに、突っ込んできたアーツを抱え込んでしまう。シュルトに警告。
 
 前戦では京太郎が警告だったのだが、飛び込む、シュルト迎撃当てる、お互い抱きつく、という流れなら飛び込んだ方が警告を受けるが、迎撃でワンクッション入れられなければ飛び込まれたシュルトさんがクリンチの注意を受けてしまうわけだ。
 顔真っ赤のアーツ、もはやこの気迫は常識外れです! これが四十を迎えたオヤジの姿か!?
 
 ここに来て、つかみ膝禁止のルールが響いてきたか、それとももうハートが折れたか。ペースを握られたシュルトさん、左フックまで振るうも、アーツはステップバックも忘れてない。会場のムードもアーツ一色。信じられん! 先手を取り続け、前に出る。シュルトさんはローも効いてしまったか、ずるずる下がる。
 
 判定は2−0でアーツ! キャリア、技術、今日に賭ける想い、全て叩き付けて絶対王者を粉砕した。
 
 
▼第8試合 FINAL準決勝 第2試合 K-1ルール 3分3R延長1R


サキ


VS

アリスター
 
 ブロックを固めて前進するアリスターだが、サキは動き続けてロー、ボディを当て続け、アリスターの一発を打たせない。速い速い。うかつに回転あげるとカウンターをもらうのが怖い。アリスターは前に出るものの有効な攻撃を出せない。
 これはサキのペースになっていくのかな……と思ったのだが、アリスターの左ミドルに一瞬動きが止まる。んんん〜、ギタに相当蹴られてたしなあ。右腕かレバーか……。
 相変わらず警戒して攻めあぐねるアリスター、ロー、ミドルと蹴りを増やす。これはますますサキのパターンにはまるのでは……と思ったら、サキが後ろを向いて下向いちゃった! あらららら、腕か……。
 ギタに競り勝った代償は、あまりに大きかった……。もう限界だったか……。
 
 
▼セミファイナル(第9試合) スーパーファイト K-1ルール 3分3R延長1R


セルゲイ・ハリトーノフ(ロシア/ゴールデングローリー) 

VS

シング“心”ジャディブ(インド/パワーオブドリーム) 
 
 いや〜、この試合、ハリトーノフ圧勝と思ってたんだよね。近距離のボディで動きを止めて、顔でKOすると……。
 果たして詰めてボディを狙うハリトーノフ、いいのを何発かいれて、このままペースをつかむのかと思ったら、ラウンド終盤、ジャディブの打ち下ろし右フックが直撃! いや〜、つかみ膝がないから中途半端な位置で頭を下げても大丈夫……と思ってたら、渾身の一発がいい角度で入ってしまった。ハリトーノフは二発もらって完全に足が覚束なくなってダウン! ジャディブはこの近距離で効かせるパンチは打てないと思ってたんだが、進化していたか。
 次の一発でフラフラになり、ラウンド終了間際、試合が止まった。
 ボディ狙いでガードに無頓着になってたのが、さすがに問題だったか。アジア王者レベルを下せなかったハリトーノフ、大きく後退。ジャディブは来年浮上のきっかけをつかんだなあ。
 
 
▼メインイベント(第10試合) FINAL決勝戦 K-1ルール 3分3R延長2R


アーツ

VS

アリスター
 
 因縁の対決! 昨年、滅多打ちにされ王者の誇りを打ち砕かれたアーツが、強襲する外敵に挑む。
 いや〜大会前は、打倒シュルトの夢を託された新たなヒーローアリスターが、それを実現するか、が焦点となっていたのだが、なんとアーツが気迫でシュルトさんをぶっ潰し、アリスターを外敵に逆戻りさせてしまった。
 レミー、バダの不在のリングで、残ったのはこの二人。
 
「しかしこの写真が表紙に使われることはなかった。絶対王者セーム・シュルトとの死闘にすべてを出し尽くしたピーター・アーツは、続く決勝、アリスター・オーフレイムに嘘のようにボロ負けした……」
 
 まあ、語ることは何もなかったよね。リングに上がってきたアーツだが、もはや一片の力も残ってなかった。暴風のようなアリスターの打撃を受け続け、ついに降伏の意思表示を示した。
 
 制圧完了! ストライクフォース王者が、K-1をもねじ伏せ、ついにWGPの頂点へ! まだシュルト、ハリを倒さずしては真のナンバー1とは言えないが、果たして来年の主戦場はどこになるかな? UFCだったりして……(笑)。
 
 判定が続き、KOはもう身体が壊れてた展開ばかり。でも面白かったなあ。やっぱりみんな目の色が違うし、気持ちが出ると試合も盛り上がるよね。
 さあ、来年を楽しみに……。とりあえずオランダ予選の開催は発表されてるようで、めでたい限り。不安な日々は続くけど、人だっていつか死ぬ。いつか死ぬ、もう死んでしまうから愛さない、なんて、そんなことはありえないんだ。
 

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