"シリーズ中もっとも大味な興奮"『ソウ ザ・ファイナル』


 ついにシリーズ完結!
 前作までを「えっと、全部見たけどうろ覚えだわ……細かいこと忘れた……でもいちいち見返すの面倒くせえ!」と言うオレのような人は、「すきなものだけでいいです」さんのまとめを読んでから行けばいいと思うよ!(ちなみにこの次の記事は今作の完全なるネタバレだから、行った後じゃないと見ちゃダメだよ!)
http://sukifilm.blog53.fc2.com/blog-entry-722.html


 ジルによって仕掛けられた「ゲーム」をくぐり抜け、生き残ったホフマンは、復讐のために行動を開始する。不必要なまでに派手に仕掛けられた次なる「ゲーム」の意味するものとは? そして、かつてのジグソウの「ゲーム」の生還者として本を出版しメディアの寵児となったデイゲンにも、新たな「ゲーム」が仕掛けられる。
 一方、ジルは警察に保護を求め、自らの安全と引き換えにホフマンを売り渡し、「ジグソウ」の全容を明らかにしようとしていた……。


 毎回好例、冒頭の「景気づけ」のための惨殺は、初の衆目監視の中で白昼堂々と行われ、新鮮。より劇場型となり、多くの人間への影響力を志向する。この路線はもっとやるべきだったなあ。3Dということで、臓物がこっちに飛んできました(笑)。
 ちなみに3Dはほぼまったく意味の無いレベル。いや、2Dと見比べたらもう少し効果がわかるかもしれないが、少なくとも「3Dですげ〜!」と思ったところは微塵もなかった。わざとらしく手前に飛んでくる物体の数々には失笑したが……。トビン・ベルがインタビュー(映画秘宝2010.12)で、「3Dカメラの場合、撮影と撮影の間にカメラ位置を正確に計算しなければいけない。だから撮影がスローだった」と語っており、技術的な現場の負担も大きそうだ。無意味に3D映画を増やすのは、本当にやめてほしい。


 さて、今回は悪鬼と化したホフマンが大暴れ。急に超人級の才能を覚醒させ、「やっぱりこいつが後継者でもいいんじゃね?」と僕はちょっと思ってしまった……。考えてみれば『4』『5』『6』は彼の活躍がなければなかったわけで、ジョン・クレイマーさんには遠く及ばない場当たりさや小物臭さを露呈しつつも、シリーズを引っ張ってきたことは評価に値する! 前作ラストで、物凄く強引なやり方で曲がりなりにも「ゲーム」を突破したことがいい方に作用したか、微妙なキャラ立ちを豪快な活劇でカバーしてみせた。
 しかしながら、肝心の「ゲーム」はそのせいでほぼ添え物と化し、ホフマンの大活躍でシリーズ中もっとも大味な興奮が味わえる。さすがに爆発と機関銃乱射はやり過ぎ。なんの映画なんだ!


 完結編ということで、独特の緊張感があるのも良い方に作用している。もうなんせこれで終わりですから、ホフマン、ジルなど、メインキャラの誰かがいつぶち殺されてもおかしくない。これだけで「ファイナル」と銘打った価値あり。
 しかし、共犯者っていっぱいいたのね……。ジョンさんは何でも出来る人かと思っていたのだが、意外に一人では大したことはしていなかったのか……。


 ゲーム参加者がショーン・パトリック・フラナリーということで、「ジグソウVS処刑人かよ!」とちょっぴりわくわくしましたが、物凄く小物でした。残念! 「ゲーム」の方のギミックでは、最後のヤキブタの変形アクションが最高でした。最近、筋トレに励み、大胸筋を鍛えてほくそ笑んでる僕の心を折るに充分な内容。ちぎれたよ、かはっ(吐血)!


 そしてこれで終わりか……まあ続けようと思えば、どうにでもなるラストだが、ループして一作目に戻ってきたし、一応すっきり終了ということでいいんじゃないか?
 うん、でも第一作、「なにこれ?」と首をひねりながら試写に行った日から、もう6年……。全部劇場で見たよ。『5』から、本気で面白さを求めることは放棄したけど、でもイベントムービーとして大いに楽しんだし、惨殺シーンに賭ける熱情にも興奮させてもらった。
 ありがとうジグソウ、ありがとう『ソウ』シリーズとスタッフのみんな。『デッドサイレンス』も含め、君たちのことは永遠に忘れない。このシリーズは終わっていいけど、また次回作、新シリーズで会える日を待ってるぜ!

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