『ミレニアム2 火と戯れる女』上下 スティーグ・ラーソン

ミレニアム2 上 火と戯れる女

ミレニアム2 上 火と戯れる女

ミレニアム2 下 火と戯れる女

ミレニアム2 下 火と戯れる女

 あの事件の後、国外へとその身を隠していたリスベット。だが、舞い戻った彼女に、復讐者の魔の手が迫る。一方、大規模な少女売春を斡旋する組織とその買い手を追求していた「ミレニアム」のメンバーたち。だが、証拠を抱えた記者が射殺され、現場にはリスベットの指紋のついた拳銃が残されていた。一人、彼女の無実を信じるミカエルは行動を起こすのだが……。


 リスベットの過去編なんだが、映画第一作で見せてしまった「燃えた」シーンを、小説ではこの第二作のほぼラストまで伏せてあるから、謎解きが成立しているのがポイント。
 映画2、3は事実上テレビドラマ版の再編集的なものだったので、ダイジェスト的になるのもむべなるかな……だったが、さすがに原作はきっちり書き込んである。特にリスベットの心理だな……。心理をそのまま書き込むと言うのは、あまり小説としては上手いとは思わないんだが、話の流れに比して情報量の多い今作では、まあやむを得ないか。


 映画では意味不明な挙動を見せていた「金髪の巨人」も、その支離滅裂さがちゃんと描かれている。特に痛みを感じないという下り。
 映画版はこれらを積極的に描写しようという意気込みが、今ひとつ感じられなかったのが残念だな〜。単にお話を追っただけにしか見えない。
 続きは3の感想でまとめて。