破壊的でありながら見事に調和したカルテット『特攻野郎Aチーム』


 遅ればせながら見てきたよ!


 米軍レンジャー部隊の中で「Aチーム」と呼ばれる部隊がある。ハンニバルをリーダーに、物資調達を得意とする女好きのペック、精神病を患う天才パイロット・マードック、腕力自慢のメカニック・バラカスの四人で構成されたチームは、極秘任務のスペシャリスト。だが、イラク戦争終結間際、奪われた米ドル札の原版をイラク軍の残党から奪い返した彼らは、傭兵部隊の裏切りによって罠にはめられ、無実の罪で投獄されてしまう。彼らは、刑務所から逃れ、誇りと名誉を取り戻せるのか?


 『マクガイバー』派だったせいで、オリジナルには思い入れなし。単にラーズ・アル・グールと、ランペイジと、『ハングオーバー』のイケメンと、ヴィカスが揃って出てくる映画ということで注目していた。しかし……なんかアクが強い面子だな……ちゃんとまとまってるのか?
 もちろんそんな心配は無用、ここらへんは多分オリジナルからしっかりしてるのだと思うが、4人の役割分担がきっちり決まってて、見せ場も整理されている。作戦立案とリーダーシップ、運転とメカニック、資材調達と「女」、操縦全般と分かれ、たまに役割が入れ替わらせてメリハリを効かせる。
 かと言って、完璧というわけでもないんだよね。頭がおかしかったり、ガンジーにかぶれたりして、安定しない側面も描かれる。うっかりすれば一発でやられてしまいそうなところを、ぎりぎりの綱渡りで乗り切ってるような危うさがある。だからどのシーンからも緊迫感が消えないし、作戦が成功した時はカタルシスが生まれるのだ。良いカルテットでした。


 接近戦になるとちょっとカット割が細かすぎるのが玉に傷だが、クライマックスの大崩壊を始め、建物や乗り物がぶっ壊れるシーンの迫力と臨場感が素晴らしい。豪快だが、それは雑さを全く意味せず、大爆笑の「3D映画」のシーンで車が迫ってくる映像は、鉄の塊が目の前に突っ込んでくるナマの危険さを表現し切っている。一番好きなのは、戦車が墜落するところだな〜。絶対にそんなわけないだろう!という展開なんだが、実に気持ちよく見れてしまう。
 ほとんど一秒も止まる事なく、常にドッカンドッカンやらかし、合間合間にギャグをぶち込むその構造。無茶苦茶やってるように見えるが、その実、計算された画面造りとシナリオ構成が光る。


 汗臭い男四人が減らず口を叩きながら、筋を通さない奴らをぶっ潰す! 中身は全然ないし、テーマもへったくれもないんだが、ま〜でもバカでいいよね。映画の最初から最後まできっちり連れて行ってくれるノンストップムービーだ。細かい事言わずに楽しむが吉。


 格闘技ファンとしては、ランペイジ・ジャクソンの熱演ぶりは嬉しいね。ガンジーにいきなり傾倒しだすところとか、実際にキリスト教に帰依した彼の実人生と完全に重なるあたり、演技なんていらなかったのかもしれないが……。しかしただごついだけの男でないナイーブさを、うまく表現出来ていたと思う。次戦ではぜひその表現力で試合を盛り上げて、町田くんをぶっ潰して下さい!

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