『エルム街の悪夢』
フレディ帰還! 『13日の金曜日』に続き、マイケル・ベイプロデュースでリメイク。
ダイナーで居眠りした高校生が、突然自分の首を掻き切るという事件が起きる。彼は死の間際、こう叫んでいた。「おまえは夢だ!」。四人のクラスメートたちは、自分たちも彼と同じ夢を見ている事に気づく。鉄の爪をつけ、赤と緑のセーターを着た、顔の焼け爛れた男に襲われる夢を……。
やがて、彼らは一人、また一人と、夢の中で惨殺されて行く。男の正体とは? 彼らが狙われる目的とは?
いや〜、冒頭、いきなり夢の中に突入するから驚いた。はやっ! そして、金属音とともに、早くもあの男が登場! もう!? そして一人目を血祭りにあげて……早過ぎない!? あっという間にその顔を画面上にさらしてしまうフレディ様……フレディ……
え? 誰? このカエル?
いやいやいや、ロバート・イングランドさんももう還暦だっけ? 惜しまれつつもフレディ役を引退。『ウォッチメン』のロールシャッハこと、ジャッキー・アール・ヘイリーに交代したわけですよ。しかしね……それって、クリント・イーストウッド以外の人が『ダーティ・ハリー』やってるようなもんじゃないの!?
んが〜、なんなんだ、これいったい。フレディ様とも思えないフレディが序盤から顔をさらし、何のためもなく殺しを連発。しかも鉄の爪でぶち抜くだけのワンパターン。最悪なのは、「これから夢ですよ〜」というのをあからさまに見せてからショックシーンに突入するとこ。いやいや、何が来るかわかってたら、怖くないから!
金こそかかってるが、全然メリハリのない演出と、ばーんと何があるのかあっさり見せてしまう映像にガックリ。なんじゃこのセンスのなさは!
ストーリーも、徐々に煽るような展開がまるでなく、中盤で主役交代が(殺されて)起こる始末。何の盛り上がりも恐怖感もない。
だいたい、フレディというのは、狂気の殺人鬼なんだけど、遊び心や茶目っ気もあるカリスマ的キャラクターでもあるんだよ! それが今回は単なる幼女好き! しかも殺される前と後じゃ完全に別人だし! フレディの狂気性は、生前も死後も、夢の中かそうでないかという区別しかないキャラクター性のはずだったのに、今作では姑息な幼女好きと殺しを楽しむ怪物の二重になってしまっている。どっちやねん!
さらに、フレディの行動は、かつて殺し損ねた子供を今度こそ殺害して楽しむことだけでなく、自分を殺した親世代への復讐を兼ねている、さらには自分を抹殺した街や世間への報復の意味もある……という重層的な目的があったはずなのだ。それが、今回は単純にレイプの続きにしかなってない。
あの『フレディVSジェイソン』が、タイトルからして壮絶なバカ企画なのにも関わらず、『エルム街』第一作の正統なリメイクとさえ言える真面目な作りでリスペクトを捧げたのに対し、今回は完全なる原典レイプ!
映画版『サイレントヒル』の驚きの怖くなさを彷彿とさせる、真なる凡作だ!
ファック! ケツ食らえ!
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