『墨攻』
- 出版社/メーカー: アミューズソフトエンタテインメント
- 発売日: 2007/07/27
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ま、映画が別物になるのはよくあることだから……。
しかし、この全体のテンポの間延びした感じはどうなのだろう? 登場人物全てにそれぞれの思惑があり、主人公が守る城の中だけでも、複雑な策謀が絡み合う……はずなのだ。なのに、どの人物もイマイチ消極的で、ドラマへの絡み方が中途半端。そういった関係性が動き出すのはようやく後半なのだが、描写が明快でないせいか、本来攻城戦の大迫力とカタルシスを楽しめばいいはずの前半に、どうもストレスがつきまとう。
いまいちすっきりしない展開は、ラストまできっちりもつれ込む。平和を願う気持ちが誰にも支持されず、保身を計るもの、誇りある死を望むもの、それらアンチテーゼによって阻害される、という展開、非常によくわかる。わかるが、あまりにそれが報われない救いのない展開に、実にイヤな気分になる。
『インファナル・アフェア』ばりの結末……つまりは「因果応報」で締めるのにも驚き。平和を願ってのこととはいえ、戦いの中で多くの命を奪って来た主人公が、かかる結末を迎える……別に間違ったテーマではないと思う。
だがしかし、ちっとも面白くないのだ。やはり酒見賢一の原作の、からっとしたプロフェッショナリズムが映画でも見たかった。
- 作者: 酒見賢一
- 出版社/メーカー: 新潮社
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- 作者: 酒見賢一,久保田千太郎,森秀樹
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