『バイオハザード3』

 3作目ということで、ストーリーはゲームの「4」なんかの設定とは大きく離れ、完全オリジナルに。それなのに元のゲームのエッセンスはきっちり盛り込まれている。


 古き良きゾンビ映画のオーソドックスを踏襲した恐怖描写、廃墟っぽさとメカメカしさの同居した舞台設定、あくまで一人でするゲームであるという事実を突き付ける、孤独な戦いに挑む主人公。
 それに加え、映画としても3作目ということで、サービス気味にパート1のシークエンスも盛り込み、続けて見てきたファンをにやりとさせる。それ以前に、たとえ何の映画か知らぬまま見始めたとしても、オープニングの音楽だけで「あ、バイオだ」と感じさせる「映画版バイオ」としての世界観の完成っぷりに驚いた。
 94分という今時すっかり珍しくなった短尺を、ゲームなどおそらくやったことないであろうベテラン職人監督ラッセル・マルケイが手堅くまとめる。
 「2」はボリューム感はあったものの、いささかガチャガチャした落ち着きのない演出だった。が、マルケイはそのあたり外さない。短い時間の中にも緩急をつけ、クライマックスへと向けて徐々に描写をスケールアップさせていく。溜めて溜めて見せ場へと……。
 そして、マルケイ得意のキメキメのスローモーションで、カメラは映し出す。最初は荒涼たる砂漠、そこを歩む細いブーツの爪先から、なぜか露出した太ももを舐めるように……。
 ブーツは興奮するところです! ミラ・ジョヴォヴィッチただいま参上! もう役柄もすでに人間じゃないんだが、その圧倒的な強さと存在感を納得させるのは、ただただこの女の気合いだ。
 どれだけカメラが顔アップにしても、一分の隙もなし! しみひとつねえ! 「とりあえずワタシを映しとけ」と言わんばかりに画面を占拠し、「クローン」という設定を駆使して何役も何役も自分登場! 培養液につかるシーンでは当たり前のように脱ぐ!
 このナルシシズム、僕の中ではすでにジャン・クロード・ヴァン・ダムも超えましたね。


 一応完結編と銘打たれてるが、「終わりのないのが終わり」。それがホラー映画。シリーズのファンは必見の快作。