『アリス・イン・ワンダーランド』


 3D映画ブームは続く。ティム・バートン最新作!


 あの不思議の国での冒険から13年……19歳になったアリスは、貴族から意に染まぬ結婚を強いられ、婚約発表の場から飛び出してしまう。幾度も夢に見た白い兎を追って、再び不思議の国にやってきたアリス。赤の女王の圧政に苦しむ帽子屋たちは狂喜するが、アリスは13年前の記憶と勇気を失っていた……。アリスは予言の通り、怪物ジャバウォッキーを倒し、不思議の国を救えるのか?


 さすがはバートンと言うべきイマジネーション、映像が続くのだが、どうもお話がつまらない。序盤の現実世界の辺り、初めて白ウサギを目撃するシーンなど、かなりわくわくしたのだが、中盤以降インパクトに欠ける。バートン印の狂人しか出て来ないのだが、話を引っ張って行く強烈なキャラクターに欠けるのだ。それは主人公に限らずとも良いのだが……。『スリーピー・ホロウ』の首無し騎士や、『チャーリーとチョコレート工場』のウィリー・ワンカのようなキーパーソンがいないため、ストーリーが転がって行かない。赤の女王も帽子屋も世界の一部でしかないし、予言で筋が早々に明かされるのも興醒めだ。
 動物にモフモフ感が足りないのもマイナスだなあ。ディズニー印ということで、何か小さくまとまってしまった印象。子供が見れば印象違うかもしれないが……。やっぱりバートンと言えば『シザー・ハンズ』であり『ビッグ・フィッシュ』であり、『スウィーニー・トッド』なんだよ。


 ちなみに3Dは試しに使ってみました、程度のレベルなので、フィルム版でも全然問題ないような気がする。
 乱暴にまとめると、「勇気を出せ! はっきり物を言って自由に生きよう!」というテーマは決して悪い物ではない。しかし、嫁のヘレナ・ボナム・カーターを出演させておいて「結婚なんてクソだ! 特にこの女との結婚はクソだ!」とはっきり言い切ってしまうティム・バートンは、やはりさすがだ……! 普通の神経じゃないぜ。ビッグ・リスペクト!

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