『シェルター』


 多重人格の存在を否定する精神分析医のカーラ。父の経営する施設で、彼女はアダムという患者と出会う。30歳前後に見える彼は、20数年前に死んだはずのデイヴィッドという男の人格と記憶を備えていた。彼の身辺を探るカーラの前に、新たな事実、そして第3の人格が姿を現す……。


 結構、先が読めない展開が続く。オカルトに振り切れるようで、なかなかそちらへ行かないバランス感覚が上手い。地味ながら細かいミスディレクションが仕掛けられていて、犯人の存在を誤認させる仕掛けが、そのまま話の根幹になっているあたりが良い。
 終盤に明かされるサプライズも、驚くという程ではないのだが、作品内では筋が通っていて、腑に落ちるもの。
 が、ちょっと色々な要素を詰め込み過ぎかな……。後半は特に、唐突に出て来た人が衝撃の真相をあっさりとしゃべってくれたりしてしまう。しかも全部映像に残ってたりして、そりゃどういうご都合主義だ!?という感じなのだが……。
 で、そこで明らかになる事実で、ああ、こいつが事件の元凶なんだ……ということがわかるのだが……なぜか主人公はそちらを追求しないのだ。どう考えても、助けなんか求めてないで(と言うか、この行動原理なら求めても無駄なのがわかるはず……)こっちをやっつけた方がいいんじゃないの?と思うのだが、それは許されないんだな。それこそ、その人物がいう「信仰を捨てるのは大罪だ」という原理こそが、製作者が恐怖とともに喚起したいものだからだ。


 まあまあ面白かったが、終盤の展開は理解しがたく、釈然としない思いが残る作品であった。


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